コロナワクチン実用化は米大統領選に間に合うか 疑問が浮上しているが可能性はゼロではない

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ワクチンが承認の検討対象となるには、プラセボ(偽薬)に比べて少なくとも50%の有効性があると証明しなければならない。複数の政府高官の話では、そのためには被験者のうち最低150人の感染が記録され、感染者数はプラセボ群の方が2倍以上となることが必要だ。

先頭を走るファイザーとモデルナの動き

また非常に有効なワクチンであれば、その結果はより短期間で分かってもおかしくない。米国で既に数千人規模の大規模臨床試験を実施し、現段階で開発競争の先頭を走る米製薬大手ファイザーと米バイオテクノロジー企業モデルナはいずれも、数十人の感染確認で効果が証明できるかもしれないとしている。

臨床試験のデータをあらかじめ決められた幾つかの段階で審査するのが、外部専門家でつくる効果安全性評価委員会(DSMB)だ。圧倒的に有効である、あるいは逆に全く見込みがないと判定された場合、その試験を途中でやめることを勧告できる。

ファイザーは、被験者32人が感染した段階でDSMBによる最初の審査を受ける予定。もっともロイターが取材した何人かの専門家は、限定的な人数では、本格的な規模の試験で判明するはずの重大な安全性の問題を見落としかねないと警鐘を鳴らした。

ファイザーはDSMBに対して、最初の審査の後、さらに4回の中間的な検証を求めている。広報担当者は「10月までに最初の分析結果を共有できるだけのデータが確保できるのではないか」と述べた。

モデルナは先月、被験者53人が感染した時点でDSMBの最初の審査を受けると投資家に説明した。

これに対してFDAの複数のワクチン諮問委員会メンバーになっているメイヨ・クリニックのグレゴリー・ポーランド博士は、53人の感染に基づく判断では「絶対数が不足している。安全性に関してほとんど知見が得られない」と懸念する。

圧倒的な有効さを理由に試験を打ち切るには、ワクチンの有効性が50%を超えることが必須となる公算が大きい。

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