フェラーリと法廷闘争した「アレス」とは何者か セレブの要望に応える新世代カロッツェリア

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プロジェット・ウノのベースモデルはランボルギーニ「ウラカン」だが、通常のカスタムカーとしては考えられないレベルでの作り込みがされている。この手のモデルは、ホモロゲーション(認証)などを考え、Aピラーやウィンドスクリーンなどはベース車両のものを流用するケースが多い。それによって、安全基準への適合の容易さやコストダウンが実現できるが、ベース車両のイメージを強く残すことになる。

しかし、このプロジェット・ウノは、これらすべてを新たに作りこんでおり、彼らの意図するスタイリングを妥協なく実現している。今となっては新たに装着されたリトラクタブルヘッドライトも斬新である。

かつてスポーツカーの象徴的アイテムだったリトラクタブルヘッドライトを採用(写真:アレス・デザイン)

「当社の顧客は本当にクルマ好きな方が多く、オリジナルの希少なクラシックカーを所有されている方もたくさんおられます。しかし、そういったクルマがストレスなく日常使いできるかというと、必ずしもそうではない。彼らは、好みのクラシックなスタイリングと、ストレスなく快適に運転を楽しめるという2つの要素が両立できるクルマを探していたのです」

そう、バハーは語る。そして次のように、自らのビジネスに自信を見せる。

「私たちはそのニーズに合致した、十分な信頼性を持つクルマ作りを目指しています。また、ドイツのTÜV(テュフ)の認証を受けていることでもわかるように、安全性にも強く、こだわっています。どのクルマにも3年保証を付けているのは、品質に対する自信の表れと理解してください」

デザイン部門で見た新世代コーチビルダーのこれから

今の時代、クルマを1から作るには、とてつもない時間とコストがかかる。また、安全性や信頼性にもこだわらなければ、顧客は満足してくれないことも、彼はそれまでの自動車ビジネスにおける経験から学んでいる。そのアイデアを生かして作り上げたのが、アレス・デザインという新世代コーチビルダーなのだ。

帰り際に覗いたデザイン部門では、さまざまなプロジェクトのスケッチが描かれ、スケールモデルがいくつも並んでいた。「なるほど」と思わせるような楽しいアイデアが、そこにはたくさん満ちていた。その中には何やらランボルギーニ「ミウラ」を思わせるようなスケールモデルもあったようだ。

ちなみにアレスS1プロジェクトと称す全く新しい限定生産のハイパフォーマンスカー・プロジェクトもまさに当原稿執筆時に発表された。

越湖 信一 PRコンサルタント、EKKO PROJECT代表

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えっこ しんいち / Shinichi Ekko

イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。前職であるレコード会社ディレクター時代には、世界各国のエンターテインメントビジネスにかかわりながら、ジャーナリスト、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表として自動車業界にかかわる。現在はビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。著書に『Maserati Complete Guide』『Giorgetto Giugiaro 世紀のカーデザイナー』『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』などがある。

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