デザインが決定すると、メーカーはカロッツェリアへとシャーシを送り込み、ボディを載せ、内装を仕上げるという流れでクルマを作っていたのだ。しかし、現在ではどのメーカーも車内にデザイン開発部門やボディ製造部門を持ち、カロッツェリアの多くは廃業もしくは、業態転換せざるをえなくなっている。
アレス・デザインのトップであるダニー・バハーは、こう語る。
「当社の使命は、過去のイタリアのコーチビルダーの伝統を守り、それを復活させることです。最新の生産技術を駆使して、新たな少量生産を行います。また、イタリアのコーチビルダーは、エンスージアストからの『特別な1台を作ってほしい』というニーズにも応えてきました。アレス・デザインは、もちろん、そういった要望に応えることのできる会社です」
メーカーとのコラボも大きなビジネスに
現在もミラノの歴史的カロッツェリアであるザガート、トゥーリング・スーペルレッジェーラなどは、同様のスタンスでビジネスを進めている。顧客からの注文を受け、市販されているモデルをベースとした新たなデザインのボディを製作する。
またカロッツェリアは、メーカーとコラボレーションを行い、ビジネスを進めるケースも多い。たとえば、アストンマーティンは歴史的にザガート製ボディを採用し、人気を博してきたから、彼らにとってもザガートのバッジの付いた現行モデルを世に出すことは、ブランドイメージの強化になるし、自らの販売網で販売すれば売り上げにも貢献する。限定モデルの多くは、ベース車両の数倍以上の価格設定がなされるから、売り上げは大きいものとなる。
アレス・デザインとフェラーリとの法廷闘争は、250GTOのオマージュ企画がきっかけとなって発生したが、彼らにとってメーカーと揉めることは本位ではない。あくまでも彼らのようなカロッツェリアは、ベース車両あってのビジネスであるからだ。お互いが敵対すれば、あらぬ横やりが入るかもしれない。
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【CEOは元フェラーリのエグゼクティブ】
