リニア提訴を前に露呈、静岡県の不都合な真実 県の専門部会委員が訴訟準備勉強会の講師に
実際には、河口堰の「治水」や「利水」の役割がダムと違ってわかりにくく、地域住民が必要性を理解できなかったことが問題を大きくした。その後、河口堰のたもとに資料館「アクアプラザながら」を設置、洪水防止や塩害防止の役割が小学生でもわかるようになった。また、近くにはリゾート施設「なばなの里」が建設され、開閉する河口堰自体が観光スポットとなった。
近年、風水害の被害が続き、長良川河口堰が地域住民にとって欠かせない施設と認識され、河口堰を中心にさまざまな観光の目玉ができたことで、地域振興につながった。リニア「静岡問題」との違いははっきりとしている。
川勝知事は「リニアトンネルは静岡県には何のメリットもない。地域振興なり、地域へのメリットがあるのかといった、基本的な考え方がJR東海にはない」と述べている。この主張に従うなら、JR東海がまず取り組むべきは「地域貢献」をどうするかである。
川勝知事も法廷で証言?
金子社長は4月の第1回有識者会議で「南アルプスの環境が重要だからといって、中央新幹線の着工が認められないのは法律の趣旨に反する」などと述べた。金子発言からは、リニアは国家的プロジェクトであり、静岡県が大井川の水環境問題などで高いハードルを課すのはおかしいという考えが見え隠れし、「地域貢献」をまったく無視してきた。本当にそれでいいのか。
静岡地裁のリニア工事差し止め提訴は非常に長引き、その後棄却される可能性が高い。とはいえ、もし裁判が始まり、原告側証人として川勝知事が「私はリニアの大推進論者だが、自然破壊につながるJR東海のリニア工事は認めない」などと主張すれば、形勢逆転も期待できる。静岡県、JR東海の対立が激しくなればなるほど、反リニアの県民が増えていくことは間違いない。
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