財源が見えない子育て政策、幼保一体化も難題山積

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 政府は並行して、「幼保一元化」に向けた法案を11年度にも提出する方向で動いている。少子化で定員割れする幼稚園に、保育所機能を持たせる構想だ。

しかし、児童福祉施設である保育所と、就学前教育施設の幼稚園では設置基準が違う。このため保育所には調理室が必要だが、幼稚園の参入を促すために給食の外部搬入を容認するなど規制緩和の議論が進んでいる。

これに対し保育所関係者は、「食物アレルギーへの対応など、子どもの育ちに影響が大きい」と質低下を懸念する。さらに「待機児童の多い地域の幼稚園に空きがあるのか。そもそも都内の幼稚園はさほど経営に困っておらず、参入する動機も少ない」と続ける。

たとえ増えても、自治体には私立認可保育園で1園当たり年間で数千万円規模の運営費がのしかかる。肝心の財源論を欠いては、せっかくのビジョンも腰折れしかねない。

(吉川明日香 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済 10年2月13日号)

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