一部科学者が集団免疫は5割で十分と考える訳

集団免疫をめぐって各国で議論が噴出している

日常の行動が正常に戻るのはいつになるのだろうか(写真:Christian Hartmann/ロイター)

コロナ禍が「どう終わるか」は、最初からわかっている。新型コロナウイルスの感染が一時的に広がった地域で、ウイルスが感染可能な宿主を十分に見つけられず、生き延びることができなくなれば徐々に収束していくわけだ。

特定の社会集団や地域がいわゆる「集団免疫」(感染しやすい人間の数が減ってウイルスがそれ以上広がることができなくなった状態を指す)を獲得するには、人口の70%が免疫を獲得しなければならないだろうと専門家はこれまで指摘してきた。免疫を得る手段はワクチン接種でも、感染を生き延びるのでも構わない。

50%に達すれば十分だという声も

だが最近、一部の専門家からハードルはもっと低いのではないかとの声が上がっている。ニューヨーク・タイムズの取材に対し、10人を超える科学者から、免疫を持つ人は50%(もしくはもっと低い割合)もいればいいだろうとの回答が得られた。これが本当なら、従来考えられてきたよりも早い時期に新型コロナウイルスを撃退することが可能になるかもしれない。

この新しい知見は、今回のパンデミック(世界的大流行)を対象にした複雑な統計モデリングから得られたものだ。さまざまなアプローチが用いられており、結果もバラバラだ。それに、第2波が来ても心配ないくらいに免疫保有者の割合が高いコミュニティが世界のどこかに存在するかどうかもはっきりしない。

だがニューヨークやロンドン、ムンバイの一部地区については、新型コロナウイルスに対する免疫をすでに十分に獲得している可能性は否定できないと専門家らは言う。

「ニューヨークやロンドンには、十分な免疫を獲得した地域があると信じる用意がある」と、ハーバード大学公衆衛生大学院で疫学を研究するビル・ハネージは言う。「この冬の状況を見ればわかるだろう」。

「だが住民全体にとってそれが何を意味するかという問いは、はるかに重大だ」とハネージは言う。

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