みんなが広めたくなる、クチコミの仕掛け方 なぜ、あの人のクチコミは影響力があるのか?

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こうしたランキング情報以外にも、「売上××突破」、といった売上データに関する情報は、メジャー感を向上させ、クチコミ受発信意向にプラスの効果があることがわかっています。この知覚認知率に着目するという発想は、媒体選択にも適用できるでしょう。

さて、担当するブランドが、各種ランキングにおいて高い評価を得ていないとします。たとえば、売上ランキングでは圏外、顧客満足度ランキングでは17位という位置だったとします。このランキング情報をクチコミのネタ元として発信しても、残念ながらクチコミしたい、あるいは聞きたいと思わせるスイッチに作用することは難しいでしょう。しかし、小さなセグメントに分けて考えれば、小さくても1位となる項目があるはずです。

たとえば「九州地域」で1位、「働く」「首都圏の」「母親」のなかで1位など、いくつかの属性でフィルターをかければ、必ず情報提供に値する情報がみつかるはずです。また、クチコミしたくなる・聞きたくなる知覚認知率には上限があることをすでに説明しましたが、この上限を上回るほど広く普及してしまったブランドの場合、これまであまり知られていなかったブランドの歴史や秘話を提供することによって、知覚認知率を適正レベルまで下げることも可能です。技で克服するとは、こういうことなのです。

山本 晶 慶應義塾大学ビジネス・スクール 准教授

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やまもと ひかる

 やまもと ひかる 慶應義塾大学ビジネス・スクール准教授。東京都出身。11歳から15歳まで米国ニューヨークで過ごす。
外資系広告代理店勤務を経て、2001年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。2004年同大学院博士課程修了。博士(経済学)。成蹊大学経済学部准教授を経て、2014年4月より現職。専門はマーケティングで、主に対人影響の研究に従事。日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会(幹事)、日本商業学会、INFORMS、AAAI、AMAの各会員。著書に『コア・テキスト マーケティング』(新世社)、「Webマーケティング」『人工知能学会誌』、『知覚認知率がクチコミ受信意向と購買に与える影響(共著)』などがある。

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