任天堂「あつ森」快進撃でもスイッチ不足の苦悩 品薄で増産対応だが、高値転売には対策できず

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巣ごもり特需は薄れつつあるが、ゲーム業界全体には追い風が吹き続けている。

ゲーム総合情報メディア「ファミ通」によると、国内家庭用ゲーム市場は、ハード・ソフト市場ともに7月まで5カ月連続で前年比プラスを続けている。パッケージ版ソフトの推定販売本数ランキング(7月分)でも、任天堂のあつ森は5カ月連続首位となった。

ただ、業績見通しについて任天堂は慎重な姿勢を崩していない。2021年3月期の業績について、任天堂は5月に公表したとおり、売上高1兆2000億円、営業利益3000億円の「減収減益」見通しを維持した。「今後、有力な新作タイトルは用意しているものの、最も業績への影響が大きいのは年末商戦期。(新型コロナの動向を含めて)まだ見通せない」(任天堂)と説明する。

年末商戦はライバルが攻勢

2020年の年末商戦はライバルが攻勢を強める。ソニーの「プレイステーション5」やマイクロソフト「エックスボックス シリーズX」といった新型ゲーム機の投入が控えており、スイッチへの注目が薄れてしまうのは避けられない。

2020年の年末商戦期に投入される新作タイトル「ピクミン3 デラックス」(画像:任天堂ホームページより)

スイッチは今年、4度目の年末商戦を迎え、ゲーム機としてのライフサイクルはすでに中盤にさしかかっている。2017年3月の発売以来、6000万台以上売り上げてきたが、任天堂のゲーム機の過去の販売台数パターンは、発売から2~3年目にピークを迎え、その後減少していくのが一般的だ。2019年9月に小型で携帯しやすく、安価な新型機「スイッチ Lite」を投入しているが、ライバルが攻勢を強める今年の年末商戦期に新型機の投入は予定していない。

任天堂は「スイッチの勢いは衰えておらず、例年と比べても順調。ポテンシャルはまだまだ発揮できる。これからも面白いと思ってもらえる新作ソフトを出し続けることが重要」というが、スイッチ増産後の年末商戦期には、あつ森ブームが一服している可能性もある。

あつ森に次ぐ新作ソフトを年末商戦期にどこまで訴求できるか。それが任天堂の今期業績を左右することになりそうだ。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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