任天堂「あつ森」快進撃でもスイッチ不足の苦悩 品薄で増産対応だが、高値転売には対策できず
これまでに発売した「どうぶつの森」シリーズタイトルの中で販売本数が最も多かったのは、ニンテンドー3DS向け「とびだせ どうぶつの森」の1200万本。あつ森はそれを、発売からわずか6週間足らずで上回り、6月末までに全世界累計2240万本を記録した。
あつ森は日本国内の記録も更新した。コロナ影響が本格化した3月に384万本、4~6月に331万本、合計715万本を販売し、国内で売れたゲームソフト歴代1位となったとみられる。超えるのは不可能ともいわれていたファミリーコンピュータ向けソフト「スーパーマリオブラザーズ」(1985年発売)の681万本(『CESAゲーム白書』より)をあっさり抜き去り、まさに記録ずくめの快進撃となった。
「過去に遊んだことがある20代から30代が多く、⼥性⽐率も4割以上だった。(あつ森をプレイするために)新規でスイッチ本体を購入する消費者が多かったことも大きい」と任天堂側は分析する。
「あつ森」以外も大健闘
任天堂の4~6月の全世界ソフト販売本数は5043万本と前年同期比の約2.2倍に達した。あつ森の売り上げは海外を中心に1063万本だったが、全体の21%にすぎない。「あつ森をきっかけに、既存タイトルを中心に2本目、3本目に遊ぶソフトを購入いただいたことが大きい」(任天堂)というように、新作大型タイトル以外も売れに売れた。
「マリオカート8 デラックス」や「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」など、発売から1年以上が経過している既存タイトルもそれぞれ100万本以上の売り上げを記録した。また、ダウンロード販売による売上高はこの4~6月は1010億円(前年同期は306億円)と大きく伸び、ソフトの売り上げの55%を占めた。
とはいえ、この絶好調の決算を手放しで喜べない事情もある。
スイッチ本体は4~6月期に前年同期の約2.7倍となる568万台(そのうちLiteは262万台)を出荷した。しかし、消費に供給がまったく追いつかず、売り切れが続出。ようやく入荷しても瞬間蒸発してしまうほどで、任天堂にしてみれば売り逃しがあったことは否めないからだ。
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