新型コロナにまつわる致命的な「3つの大嘘」 「コロナ大不況」も「世界が変わる」も大間違いだ

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また、コロナショックとは、述べたようにフローのショックに過ぎず、ストックは何も傷んでいない。そこがリーマンショックとも東日本大震災とも違う。大震災では、生活インフラが、産業インフラが、農地が、港湾が破壊された。その立て直しには時間がかかる。だがコロナでは何も壊れていない。人々のマインド以外は何も壊れていないのだ。

リーマンショックでは、多くの金融資産が失われた。紙くずになった。バブルに乗って、サブプライムローンで借りられるだけ借りて、家だけでなく、自動車も高級家電も買ってしまった。

それらはお金には戻らない。バブル消費は戻らない。家計は長期にわたって消費ができなくなってしまった。産業界もバブル消費めがけてビジネスモデルを作り上げてしまったから、立て直しに時間がかかる。リーマンショックはストックのショックで、なかなか立ち直れなかった。繰り返すがコロナショックは、ストックは何も傷んでいない。

さらに、金融機関が傷んでいない。リーマンショックは投資家、金融機関を直撃した。そうなると、バブル崩壊の影響は、幅広く経済全体に広がる。バブルと無関係にまじめに製造していた工場に対しても貸し渋り、貸しはがしが起こる。銀行の資本が投資損失で毀損したから、融資を縮小する必要がある。バランスシート調整が起こる。

しかし、今回、金融機関は、少なくとも直接はまったく傷んでいない。今後、経済縮小が広がれば破綻の連鎖もありうるが、前述のように、もうフローの危機は終わった。だから、それもない。したがって、コロナショックはもう終わったし、後は前に進むだけなのだ。

なぜメディアは「ジョーク」のようなことを言うのか?

それなのに、なぜメディアは「戦後最悪、人類史上最悪」などと、ジョークのようなことを言い続けるのか。

それは「期間が短く、瞬間風速が最強だった」という2つの特徴とともに、特定領域に不況の悪影響が集中している、という3つめの特徴を持っていることが理由だ。中小の飲食店、地方の中小の観光、旅館業界、これがショックを一身に集めて浴びたために、ニュースとして取り上げやすく、都会の無傷の年金生活者、大企業サラリーマン、主婦、学生、大学教員などからの同情を集めやすいニュースであるからであろう。

政治家たちは、もちろん確信犯である。「危機を煽り、それを救うのは自分たちだ」という姿を選出したいし、カネが動けば実利が伴う人々もいるだろうから、「この経済ショックはたいしたことはない」などとは決して言わない。

不思議なのは、エコノミストなどの有識者たちだ。GDPの年率減少27.8%に対してはようやく「年率換算はミスリーディングだ」と言い始めた。日ごろは意見が合わない双日総合研究所のチーフエコノミストであるかんべえ(吉崎達彦)氏ですら、これについては私と同意見のようだ(詳しくは『溜池通信の8月19日の欄を参照』)。だいたい、これまでは「コロナショックは大したことがない」と言っていた経済学者など、ほとんどいない。

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