社会貢献は「自分のためにやる」エモい働き方だ

日本の女性起業家とマーク・ベニオフの共通点

ベニオフさんは、黒人差別問題に言及されていますが、私は、日本においては未来の世代に価値が提供できるような取り組みがもっと実現されるといいと考えています。政治的なリソースや社会構造も、幅広い世代を対象にした社会保障への支出と、将来の世代が活躍できるための支出とバランスをとれることが大切だと考えています。

弊社の事業は、次世代、若い人のためにという面が大きいですし、たびたび、この点については話すことがあります。「私たちの次の世代のために、明るい未来を作っていかないと」と。社員もそこには共感してくれています。

私はよく「明るい未来を」という言葉を使うのですが、それは両親が「明るい未来を作っていけるように」という意味で名付けてくれた「未来」という名前そのものでもあります。

私の身体に染み込んでいる言葉で、実際に抱いたミッションともぴったりとはまる。ベニオフさんを「先輩」としながら、両親から受け取った思いを、社会に提供して実現できたらとも思っています。

社会貢献の意識は徐々に身につく

会社を始めて間もない頃のステージでは、ひたすら泥の中を進みながら、なんとかチャンスをつかみにいくぞ、という考え方になるものですし、事業の負の側面についてどう対処すればよいのかを考えたり、社会的責任という観点で活動をしたりする余裕はないものです。

社会的な責任感は、徐々に自然に身についてくるものでもあります。私が「子どものために未来を改革していこう」という思いを抱き、それをきちんと言語化できるようになったのも、出産後少し経ってからのことです。もともと、なんとなく頭では思い描いていたことでしたが、他人に対してはっきりと話す機会を持ってから、どんどん明確化されていきました。

マーク・ベニオフさんは、この徐々に身についていく社会貢献への意識を、スタートアップ経営者にも、もっと明示的に持ってほしいというメッセージを込めて『トレイルブレイザー』を書かれたのではないかと思います。

自分が思い描いた世界を作るには、まずは事業が大きくなっていなければなりません。ですから、事業を大きく成長させていきたいという気持ちは私にもありますし、誰もが持つものです。

その核になるものが、「社会に貢献したい」「よりハッピーに生きる人を増やしたい」という強いエモーションであれば、結果的に、「株式時価総額」という結果となってついてくる、そういう企業の姿を描いている本かもしれません。

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