三國陽夫・三國事務所代表取締役--円安誘導は購買力を奪う、債権国の経済学へ転換を
アメリカもオバマ政権下でパラダイムチェンジが起きている。借金して使う習慣を改め、貯金して投資する形へ向かっており、輸入拡大から輸出拡大へシフトしている。その中で米FRB(連邦準備制度理事会)もドル安を容認する様子だ。そんな内外の動きを総合すると、円は強くなる時代に入ってきたことになる。
パラダイムチェンジとは日米が立場を替えること
--日本が産業構造を転換するには時間が必要。その間に景気はさらに悪化する危険もあります。
アメリカ向け輸出が減っていけば日本はなかなか立ち直れない。二番底に陥る懸念もある。今、景気がさらに悪くなることは、南極大陸で自動車のエンジンを切るようなもの。つまり、二度とエンジンがかからなくなる。だから民主党としては、財政出動を続けざるをえない。
そのときに心配になるのが金利の上昇。ただ、金利が上がれば1400兆円の個人金融資産が消費に回る可能性も期待できる。仮に3%上がれば、40兆円とか30兆円の金利所得が増える。年配の方がそのかなりの部分を使えば、景気はよくなる。
--一方で政府が支払う金利負担も大きくなります。
政府が金利を支払えば、国内の誰かがもらうので、それも消費に回る。日本は純債権国だ。国内では受け取りと支払いとでツーペイになるが、海外からは高い金利が取れる。現状のゼロ金利では、海外へタダでおカネを貸しているようなもの。それがきちっと金利をもらえるようになれば、日本経済のプラス要素は増えてくる。また、経済が拡大してくれば、景気対策の財政支出がいらなくなり、金利負担も少なくなる。
--日本は債権国型へ構造改革することが必要になるわけですね。
「債権国の経済学」というのがある。債権国は供給が需要を上回る経済だから、消費を増やすことが最大のポイント。消費を減らす消費税はたとえば3%に減税する。毎日払っている消費税が減れば、消費刺激効果の即効性は間違いなく大きい。