安倍「体調不安説」に永田町がざわめき始めた 慶応大学病院「日帰り検診」に広がる臆測

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安倍首相は12日に甘利氏、15日に麻生氏と2人だけで密談している。安倍政権を支える実力者の中でも、麻生、甘利両氏は「首相がもっとも頼りにする盟友」(側近)だ。このため、政界では「首相が麻生、甘利両氏と秋の党内閣人事や衆院解散を含めた政局運営について、突っ込んだ意見を交換したはず」(自民長老)との見方が広がる。

その麻生氏は、17日に記者団から安倍首相の体調不安説を問われると、147日もの連続執務に絡めて「普通なら体調がおかしくなる」と指摘し、15日の会談で体調管理のため休むことを勧めたと明らかにした。

麻生「首相臨時代理」説も

ただ、政界では「安倍・麻生会談では、万一の場合は麻生氏が首相臨時代理となることを確認した」「いざとなれば、早期解散で勝負をかけることで一致した」などの怪情報も飛びかう。安倍首相自身も2019年、「私に何かあれば、麻生さんが臨時代理になる」と周辺に語ったことがある。

お盆明け以降の政治日程をみても、内政、外交両分野での重要行事は見当たらず、安倍首相はコロナ対応や経済対策に専念したまま、9月の党・内閣人事に臨むことになる。

G7サミット先送りにより、人事を断行するタイミングの選択肢が増えた。8月末に訪米すれば、人事断行は帰国後2週間が経過する9月中旬以降とみられていたが、現状では9月上旬の人事も可能となった。

第1次政権末期の党・内閣人事では、政権維持のために党内実力者を取り込み、挙党一致態勢を敷いたが、持病の悪化で退陣を余儀なくされた。今回も野党が要求する秋の臨時国会召集をにらみ、「挙党一致内閣をつくるのが政権維持の常道」(自民長老)との声は多い。

しかし、焦点となる幹事長人事では、今や党の最高実力者ともみえる二階俊博幹事長が続投に執念を見せており、安倍首相が模索してきた岸田文雄政調会長の起用は困難視されている。結局、「麻生、二階、菅3氏は留・再任させざるをえず、コロナ対応の継続性を含め、政権浮揚にもつながらない小幅人事を余儀なくされる」(閣僚経験者)可能性が大きい。

安倍首相の持病の潰瘍性大腸炎は「過度のストレスが発症のきっかけになる」(医療専門家)ことが知られている。このため、19日に無事公務復帰となっても、「コロナ対応や人事工作は、持病悪化と背中合わせ」(自民幹部)となる。首相サイドの楽観論とは裏腹に、体調不安説による政界のざわめきは当分収まりそうもない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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