安倍「体調不安説」に永田町がざわめき始めた 慶応大学病院「日帰り検診」に広がる臆測

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8月に入って、安倍政権を取り巻く政治的環境は一段と悪化している。コロナ第2波とみられる感染再拡大は一向に収まらず、政府が狙うGoToトラベルを軸とする経済対策も空回り気味だ。こうしたコロナ対応の迷走で、内閣支持率も危険水域スレスレの状況が続いている。

17日に発表された2020年4~6月期のGDP速報値は戦後最悪の下落となり、株価も下落した。これにより、政権の命綱とされてきたアベノミクスによる経済的成果も吹き飛び、「コロナが収束しなければ、安倍首相の任期内の経済回復は絶望的」(有力エコノミスト)との悲観論も広がる。

首相の体調は「最高機密」

安倍首相の求心力を高めてきた首脳外交も、8月末と見込まれていたG7首脳会議が、議長役のアメリカ・トランプ大統領の判断で11月に延期され、国際舞台での活躍の場も当分見込めない。意欲を示してきたロシアとの北方領土交渉や北朝鮮の拉致問題解決も、進展の糸口さえつかめていない。安倍首相の体調不安説は、そうした八方ふさがりの政権運営も絡んで、政界に波紋を広げた。

第2次安倍政権発足から7年8カ月が経過した。毎年8月15日の終戦記念日の前後に1週間以上の休暇をとり、山梨県の別荘に滞在して親しい政治家や財界人らと趣味のゴルフに興じて英気を養う一方、地元・山口にお国入りをして、父・晋太郎元外相の墓参りや地元後援会関係者と交流するのが恒例だった。それだけに、安倍首相にとって「今年は、第2次政権発足以来、最悪の夏」(周辺)ともみえる。

安倍首相は第1次政権時代の2007年8月に、参院選での自民惨敗による心労などから持病の潰瘍性大腸炎が悪化。お盆明けの外遊後に体調不良を隠して8月末に党・内閣人事を断行したものの、9月10日に召集した臨時国会での代表質問直前の同12日昼に突如退陣表明した。それだけに、安倍首相が今回、都内の病院で日帰り検診を受けたことも含めて、政界で「13年前の悪夢再び」との声が相次ぐ。

戦後の政治史を振り返っても、時の首相の体調悪化が政局混迷につながった例は少なくない。衆院解散による選挙戦の最中に死亡した故大平正芳元首相や、突然の病魔による入院で退陣を余儀なくされ、そのまま死去した故小渕恵三元首相のケースは、現職議員も鮮明に記憶しているはずだ。

ただ、いずれもトップリーダーの体調は「最高機密」として秘匿され、そのことが虚実取り混ぜた揣摩臆測(しまおくそく)につながり、混乱を拡大させる原因ともなった。今回の安倍首相の体調不安説は「必要以上に騒ぎすぎ」(細田派幹部)との見方も多い。19日以降、安倍首相が元気に公務に勤しめば、「体調不安説はパッと消える」(首相周辺)との声も出る。

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