野良猫に餌をあげるのは法令違反に当たるのか 京都市では不適切な餌やりを禁止している
──不法行為等に該当するような場合でなければ、餌をあげても問題ないのでしょうか
冒頭で申し上げたように、法律レベルでの直接の規制はありません。また、相談者が住む千葉県にはないのですが、条例レベルで規制をしている自治体はあります。
例えば京都市は2015年、「周辺の住民の生活環境に悪影響を及ぼすような給餌」を禁止する内容を含む、「動物との共生に向けたマナー等に関する条例」を制定し、住民に対して、「適切な給餌」をするように求めています。この条例によって、不適切な給餌は禁止されました。
しかし、この条例によっても、どのような場合に餌やりが禁止されるのかが明確になっていない点に問題があるのではないか、ということも言われています。その不明確さがあるために、餌やりをやめさせたい住民と、餌をやっている住民との間で対立を引き起こす可能性も否定出来ません。
「地域猫活動」の推奨を明記した和歌山県の条例
──相談者のように「お腹を空かせて家にくる猫をみると放っておけない」という気持ちも確かにわかるものです
最終的には、世の中には猫が好きな人、嫌いな人、野良猫による鳴き声や糞尿などに困っている人などさまざまな人がいるという前提を理解しつつ、相互に他者への配慮をしたうえで餌やりを行うしかないのかもしれません。
なお、2017年に和歌山県が、地域猫活動(野良猫を捕まえ、不妊・去勢手術をし、元の場所で住民が飼育する取り組み)の推奨を全国で初めて条例に明記しました。即効性はないかもしれませんが、いずれ猫の数は減り、糞尿などの被害も減ると考えられています。
今後は、こういった活動も期待されていくと思います。
鈴木 智洋(すずき ともひろ)弁護士
専門は労働法(使用者側限定)、行政法(行政側限定)、動物法・ペット法。動物法・ペット法に関しては、ペット法学会に所属するほか、国立大学法人岐阜大学応用生物科学部獣医学課程の客員准教授も務めている。
事務所名:後藤・鈴木法律事務所
事務所URL:http://www.gs-legal.jp/index.html
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