オリエンタルランド「ベンチャー投資」の意外感

舞浜一極集中の危機感から自社ファンドで参入

急激に熱が冷めつつあるCVC投資だが、今あえて攻勢に出る企業も存在する。そのうちの1社が、東京ディズニーリゾートを展開するオリエンタルランドだ。6月にCVCとしてオリエンタルランド・イノベーションズを設立。出資枠は30億円で、オリエンタルランドの100%子会社となっている。

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オリエンタルランドの直近2020年4~6月期業績は、売上高が前年同期比94.9%減の61億円、営業損益が156億円の赤字(前年同期は319億円の黒字)と厳しい業績となった。財務基盤は盤石な企業だが、新型コロナの感染拡大で、運営する東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを2月29日から約4カ月間臨時休園したほか、直営のホテルも休業したことが影響した。

ディズニーランドなどの施設は7月1日から営業再開している。ただ、混雑を避けるため入園者数を通常の半分以下に抑えており、業績回復にはかなりの時間を要する見通しだ。新型コロナで最も大きな打撃を受けた1社であるオリエンタルランドが、このタイミングでベンチャー投資に参入する狙いは何か。

「舞浜一極集中」のリスクを軽減したい

「コロナで“舞浜一極集中のリスク”が顕在化した形になった。この危機にこそ、将来的に事業の柱となるような新規事業の創出に向けて舵を切った」。オリエンタルランド・イノベーションズの豊福力也社長はそう語る。

オリエンタルランド社内では、CVC設立について2019年秋から構想があった。そのため、厳密には新型コロナの感染拡大を受けてCVCの設立を決めたわけではないものの、コロナをきっかけに、舞浜にある2つのテーマパークに依存しない形での新規事業創出も考えるようになったという。

新規事業として想定するテーマは4つある。1つ目は働く人(例えばパークで働くキャスト)のパフォーマンスやエンゲージメントを高めるための人事労務面の新サービス。2つ目はテーマパークとしての遊びを子どもに提供するだけでなく、オンライン教育などの学ぶ機会の提供につながるサービスだ。

残りの2つのテーマは、社会的課題の解決だ。舞浜という土地のデジタル化を進め「スマートシティ」を実現する構想や、フードロス削減、クリーンエネルギー化や暑さ対策などを実現できるサービス展開を考えている。

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