4月米雇用者数は前月比28.8万人増 市場予想上回り、失業率は5年半ぶりの低水準

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 5月2日、4月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比28万8000人増と約2年ぶりの大幅増となった。写真はニューヨークの就職フェア会場で4月撮影(2014年 ロイター/Carlo Allegri )

[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が2日発表した4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比28万8000人増と、2012年1月以来、約2年ぶりの大幅増となった。市場予想の21万人増も上回った。

失業率は6.3%と、前月から0.4%ポイント低下し、2008年9月以来、5年半ぶりの水準に改善した。米経済動向が第2・四半期に入り大幅に回復している兆候を示唆する内容となった。

2、3月分は計3万6000人上方修正された。

アメリプライズ・ファイナンシャルのシニアエコノミスト、ラッセル・プライス氏は「米経済は成長を支える堅固な基礎的条件を有しており、悪天候など一時的な逆風に間違いなく対処していける」と述べた。

雇用統計を受け、米国債利回りは急上昇。ドルは対円・ユーロで上昇したほか、米株価も小高く推移している。

労働省は失業率の低下について、労働市場に復帰した失業者と新規参入した労働者がともに減少したことが背景と説明しており、懸念はくすぶる。

ただ、全体としては、異例の寒波の影響で第1・四半期に大きく減速していた米経済成長に弾みがついていることを示す内容となり、投資家の間では、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ開始時期予想を前倒しする動きがみられた。

CMEフェドウォッチによると、米短期金利先物市場ではFRBが2015年6月に利上げに踏み切る確率が約56%となり、発表前の約47%から上昇した。雇用統計発表前は2015年7月を予想する見方が優勢となっていた。

今週発表された第1・四半期の米国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比0.1%増と、2012年第4・四半期以来の低い伸びにとどまった。

ただ、この日の雇用統計に加え、消費支出や鉱工業生産など、最近発表された一連の指標は成長加速を示唆する内容となっており、エコノミストは、第2・四半期のGDP伸び率が3%を超えると見込んでいる。

4月の雇用は幅広い分野で増加。民間部門が27万3000人増となる中、政府部門も1万5000人増となった。

業種別では製造業が1万2000人増、建設が3万2000人増で、ともに前月から伸びが加速した。

時間当たり賃金、平均週間労働時間はともに前月から横ばいとなった。

<家計調査の結果は強弱まちまち>

一方、失業率算出の基となる家計調査の結果は強弱まちまち。失業者が減少すると同時に、就業者も小幅減に転じた。労働人口は大きく減少した。 労働参加率は62.8%と、前月から0.4%ポイント低下し、昨年12月以来の低水準となった。

長期失業者向けの緊急失業保険給付制度が昨年末に失効した影響が労働力人口の減少につながった可能性もあるとみられている。

ただ、長時間勤務を希望しているパートタイム就業者や過去1年間に求職活動をした人も失業者に数えるU─6失業率は、20年ぶりの低水準となる12.3%に改善した。

*内容を追加して再送します。

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