格安品台頭で急変する化粧品市場、岐路に立つ大手各社の高付加価値戦略

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 目薬に強みを持つロートは医薬品会社のイメージが強いが、01年に化粧品事業へ参入。販路は従来関係のあったドラッグストアを利用した。04年に投入した肌研は着実に売り上げを拡大し、10年3月期には、約6割をスキンケア用品で稼ぐ見通しだ。

ヒットした要因の一つは低価格にあるが、それを可能にしたのが既存メーカーにはない型破りな手法だった。

たとえば、メーカー品が容器のデザインなどに工夫を凝らすのに対して、肌研はPET素材の簡素な円柱型を使用。外見を簡素にすることで、生産ロットが大きくなり、多くの作業を自動化できるようにした。

加えて、容器に「ヒアルロン液」など成分をデカデカと表示。色気こそないが、医薬品会社という信頼感もあって、低価格ながらも「効きそう」というイメージにつながった。

05年にはさらに、業界の常識を覆す「詰め替え用」も投入した。瓶詰めではコスト削減に限界があったが、プラスチック製のパウチに入れることで、さらなる低価格化を実現。発売当初は「日用品のようだと心配する声もあり、店頭に並べてもらうことすら苦労した」(ロート製薬)。

ところが、いざ投入してみるとリピート率が向上。今では「詰め替え用があるということが購入の決め手にもなっている」(マツモトキヨシホールディングス商品部化粧品チームリーダー高野昌司氏)という。

大手は軒並み低迷も 価格競争には慎重

急激な低価格化の中、大手メーカーの業績は軒並み低迷している。資生堂の09年4~9月期の営業利益は前期比33%減と6期ぶりに減益。カネボウを傘下に持つ花王やコーセーも、10年3月期の業績予想を相次ぎ下方修正した。

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