米国初の女性副大統領候補ハリス氏とは何者か カリフォルニア州元司法長官が期待されること

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8月11日、ジョー・バイデン氏によって副大統領候補に指名されたカマラ・ハリス氏(写真:REUTERS/Mike Blake)

ジョー・バイデン氏が8月11日に副大統領候補に指名したカリフォルニア州のカマラ・ハリス上院議員は、主要な党によって国家的公職に推薦された最初の黒人女性、また最初のインド系のルーツをもつ人物となる。現実的な穏健派であり、大統領選の予備選ではバイデン氏のライバルの1人でもあったハリス氏は、2016年に上院議員に選出される前は、障壁を打ち破ることをおそれない検察官であった。

ハリス氏はカリフォルニア州オークランド生まれの55歳。カリフォルニア州の元司法長官および元サンフランシスコ地方検事である。

民主党の大統領候補にも名乗り

2019年のマーティン・ルーサー・キングの誕生日に大統領選への出馬を表明したとき、ハリス氏は、民主党の大統領指名候補者予備選挙に出馬した最初の女性、シャーリー・チザム元ニューヨーク下院議員に敬意を表し、歴史を作る候補者として自らをアピールしていた。

検察官としてのハリスの実績(2004年から2011年までサンフランシスコ地方検事、2011年から2017年までカリフォルニア州の司法長官)は、大統領予備選挙における彼女のキャンペーンの大きなポイントであったし、ジョージ・フロイド氏の殺害以来の警察の残虐行為と組織的人種差別に対する全国規模の激しい抗議を考えれば、本選挙においてもほぼ間違いなく焦点のひとつとなるだろう。

ハリス氏は自分自身を「進歩的な検察官」と表現し、刑事司法制度の根が深い不平等問題に立ち向かうと同時に、犯罪に立ち向かうことは可能であると主張した。彼女は、内部からシステムを変更するのに自分ほど最適な人間はいないと信じて検察官になったと言っているが、それは自身が大統領候補となった時の、ハリス氏の宣伝文句の重要なメッセージと重なる――有権者は彼女が司法制度の問題について「十分に理解している」ことを知っていたので、司法制度を全面的に見直してくれると信頼することができた。

だが、彼女の経歴のある側面は、特に左派から批判の的になっている。

司法長官として、ハリス氏は民間人を殺害した警察官を起訴することはめったになかったが、彼女が職を離れる間際には、いくつかの警察署のレビューを行っていた。 彼女はまた、死刑囚の黒人のケビン・クーパーが無罪となったかもしれない高度なDNA検査を許可することを拒否し、検察の職権乱用の疑いの申し立てに対し、有罪判決を擁護したことでも非難された。

死刑の反対者であるはずの彼女は、2004年にサンフランシスコで警察官が殺されたときには、死刑判決の反対を求めることを拒否している――当時抗議が起こったが、ハリス氏はこれを公正な刑事司法制度への取り組みの例として挙げている。

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