米国初の女性副大統領候補ハリス氏とは何者か カリフォルニア州元司法長官が期待されること

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だが概して言うと、ハリス氏は、まとまりのある政綱の提示に手こずることがあり、特にヘルスケア問題にその傾向が強い。最も話題になった事例として、国民皆保険制度の制定が民間保険の廃止につながるかどうかという点で、ハリス氏の意見にはぐらつきが見られた。

多くの政治評論家にとって、ハリス氏とバイデン氏の関係は緊迫したものだったように思われたかもしれない。何といっても、最初の討論会でハリス氏は、大統領予備選挙キャンペーン期間中おそらく最も強力で記憶に残る対立候補への攻撃を放ったのだ。それは、バイデン氏が過去に公立学校の統合手段としてのバス送迎に反対していた事実をめぐってバイデン氏に挑戦したときだった。

彼女の討論会での攻撃は、バイデン氏の陣営内に後々――つい最近の数週間前にまですら尾を引くしこりを生んだ 。3月のキャンペーン資金調達で、ジル・バイデン前副大統領夫人は、ハリス氏の討論会での一連の発言を「とても受入れ難い」ものだったと述懐している。

女性からの支持拡大に期待がかかる

しかし、おそらく両氏の相性に対する疑念を避けるため、8月11日になってすぐ、バイデン陣営はハリス氏に関する文書を発表した。同文書には2人の「パートナーシップ」に関する項が含まれており、バイデン氏の息子ボー氏がデラウェア州司法長官だったときに、ハリス氏もカリフォルニア州司法長官を務めていたことに言及している。

「2人は銀行業界との闘いの中で協力関係になりました」との箇条書きの一文がある。「ボー氏との友好関係を通じ、彼女はジョー・バイデンと知り合いになったのです」。

大統領キャンペーン中、ハリス氏は特に民主党穏健派や同氏の経歴にひかれる人々の支持を集めた。黒人女性や地方女性、そして国の指導陣に自分たち女性の姿を見たいと強く願う女性全般からのバイデン氏への支持を強化することになるとみられる。

ハリス氏にはもう1つ、武器となり得る隠し球がある。同氏にはハワード大学の学生時代に入会しているソロリティ(アメリカの大学の学生を中心とする社交的組織)の人脈がある。同ソロリティは約30万名のメンバーと数百万ドルの予算があり、ファンドレイジングの面で助けになったり、国中に広がる組織力となりうる。

しかし、サンダース氏支持者の一部を含む進歩的左派は、ハリス氏を広範にわたる革新よりも段階的な変化の信奉者として見なしているため、ハリス氏の指名に失望を覚えるだろう。

そして、彼女の長きに渡る検察でのキャリアは一部の有権者、特に若年層の有権者で、ホワイトハウスから不当な擁護を受けている警察組織を改革する動きを強く望んでいる人たちからの支持を減らすことになるかもしれない。

(執筆:Maggie Astor記者、Sydney Ember記者)

(C)2020 The New York Times News Services

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