「女おひとりさま」は幾らで介護施設に入れるか 年収800万円でも独身老後は超不安でしかない

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聞けば、Aさんのお父さんは5年前、84歳で他界されたということでした。足が悪く、お母さんが世話をしていたそうですが、最後の1年くらいは持病のケアもあり、特別養護老人ホームに入居していたそうです。一方、現在80歳のお母さんは地方都市の介護付き有料老人ホームで暮らしています。

筆者はAさんに、「2つの異なる施設を見て、どんな印象を持たれましたか?」と改めて聞きました。

「高齢者施設にいいイメージを持っていなかったのですが、父の施設では、皆さんがよくしてくださり、印象が変わりました。最後は病院で亡くなりましたが、後期高齢者なので支払いはびっくりするくらい少額だったんです。母の施設は元気な方々ばかりで、お年寄りの寮生活といった雰囲気です。カラオケ仲間もできて楽しそう。月の費用は年金で賄えるので、お金の面でも安心です」

コロナ禍で面会ができない時期には寂しさはあったものの、Aさんは「施設の存在が非常に心強かった」と言います。

リーズナブルな「介護付き施設」も少なくない

高齢者施設には種類があり、特別養護老人ホームは要介護3以上の人が入居できる施設です。一方、介護付き有料老人ホームは、原則として元気な高齢者が入居できる施設です。ただし、病気になった場合は医療機関と連携してケアしてくれますし、介護も必要になればお願いできます。

費用は施設ごとに異なりますが、筆者が調べたところ、特別養護老人ホームはそれほど高額ではなく、だいたい月10万円程度のようです。介護付き有料老人ホームは「入居一時金プラス毎月の利用料」という費用設定が多く、金額はピンからキリまでですが、入居一時金3000万円で毎月75万円というところもありました。

もう少し現実的なところで調べると、入居一時金が500万円、月の利用料15万円から20万円程度の施設が多いようです。総務省によると、高齢者の毎月の消費支出は約15万円で、それに加えて税金と社会保険料1万2000円程度だそうですから、それを考えると月額15万円から20万円程度の介護付き有料老人ホームは比較的リーズナブルといえるかもしれません。

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