今後の株価がわかる「2つの経済指標」の読み方 米雇用統計だけ見ると方向性を見誤る可能性も

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積極的な財政政策で、コロナ禍でもアメリカの家計総収入は増加している(ロイター/アフロ)

世界的な金融緩和と拡張的財政政策の相乗効果によってグローバル金融市場は「全部買い」の様相を呈している。アメリカ株はナスダック総合指数が過去最高値を更新したこともありやや買い疲れ感がみられるが、その他資産価格は総じて堅調である。米国債金利は長期、超長期がジリジリと低下(債券価格は上昇)、社債市場では投資適格債に連動するETF(上場投資信託)が最高値を更新し、投機的格付け(ジャンク債)に連動するETFも高値圏で推移している。

雇用統計よりも重要な米個人所得データ

一方、コモディティー価格に目を向けると原油が戻り基調にあるほか、金(ゴールド)は過去最高値を更新、景気の強さを反映する銅も2020年の高値を更新し、最近ではアメリカ個人投資家の目にとまった銀が急上昇している。今回はグローバル金融市場を読むうえで「重要視すべき2つの経済指標」に焦点を当てつつ、日本株の行方を占ってみたい。

まず注目すべきは、アメリカ商務省が対象月の翌月末頃に公表するアメリカ個人所得データである。

この指標は今やグローバル金融市場にとって雇用統計よりも重要な存在と言えるだろう。というのも、これを見ないことにはアメリカ家計の懐事情がわからないからだ。通常の経済状態においてアメリカ家計の総収入を決めるのはもっぱら賃金であるから、はっきり言って雇用統計だけ見てればよかった。

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