セブン、米コンビニ「2兆円買収」再挑戦の賭け アメリカで「日本流コンビニ」は浸透するのか
トップシェアを強固なものにしてセブンが狙うのが、ハンバーガーやサンドイッチなど注力中のオリジナル商品の導入や、会員基盤の拡大や宅配サービスの展開拡大などサービス強化、店舗数拡大による購買力向上や配送効率化だ。
とくに、アメリカでは現在、コンビニは給油のついでに買い物をする場所という存在だが、オリジナル商品の強化によって、コンビニに行くことを目的とする消費者を増やしていく。同時にセブンはスピードウェイからガソリン販売のノウハウを手に入れる。「お互いのベストプラクティスを共有できる。(買収は)すばらしい2社の結婚といえる」(米セブンのジョセフ・マイケル・デピント社長)。
ガソリンスタンドでも安定収益
ただ世界的にEV(電気自動車)が浸透し始め、環境規制も強化されつつあり、脱ガソリンの動きが強まっている。こうした現状についてセブン側は、ガソリンスタンドを中核とする店舗でも、中期的に安定的な収益を得られるとにらむ。
アメリカのエネルギー情報局によると、現地の2020年から2050年までのガソリン消費量の年平均成長率はマイナス0.4%とほぼ横ばい。しかもコロナ禍におけるGPSデータによると、アメリカでは公共交通機関の利用者が減る一方、車による移動距離がコロナ前よりも増えているという。
米セブンのデピント社長は、「EVの普及率は2019年の1.8%から2050年までに11.2%まで上がる見込みだが、それを上回るスピードで人口そのものが増える。EVの充電施設に力を入れることがゆくゆくは必要になるかもしれないが、長い目線での話になる」と説明する。
セブンオリジナル商品を導入することによるスピードウェイでの商品売り上げの増加や購買力強化によって、2025年2月期には米セブンの営業利益が4億7500万~5億7500万ドル(約500億~600億円)押し上げられるとセブン&アイHDは見込む。
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