ドコモ社長が語る「オンライン販売」の可能性 新型コロナで携帯電話の売り方はどう変わるか

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――今後も「withコロナ」の状況が続くことが考えられます。そうすると、コロナ以前からコスト削減の目的も含めて推進してきたオンラインでの販売などがより重要になりますか。

スマホの販売もそうだが、ウェブで事務処理をしたり、必要なサービスを提案したりといったことをもっと進めていきたいと思っている。

よしざわ・かずひろ/1955年生まれ。岩手大学工学部卒業。1979年日本電信電話公社(現・NTT)入社。NTTドコモ執行役員、副社長などを経て2016年6月から現職(編集部撮影) 

ショップは、顧客接点として直接お客さんの話を聞ける場として重要であることには今後も変わりはない。

ただ、接点という意味でいうと、1人1人のデータはデジタルマーケティングでたまってきている。(ポイントサービスなどが受けられる会員サービスの)dアカウントを多くの利用者につくってもらっているし、ポイントや決済を使ってもらうことで、データの蓄積が増えている。

これを活用し、ウェブのチャネルを利用した提案活動を強化していく。それも、いちいち人が見るのではない。AI(人工知能)、マーケティングオートメーションの仕組みがかなりできてきているので、それを使ってウェブ側での顧客接点を多くしてくつもりだ。お客さんによっては対面で深く説明しなければいけない人もいるので、ショップのほうも引き続きしっかりやっていく。

経済的に厳しい人への料金プランも

――コロナ影響下でも、通信業界はもともと持っている回線契約から安定的に収入が入ってきます。ただし、景気悪化が家計を直撃するとより安いプランに客が流れたり、端末を買い控えたりといった影響が出てくるかもしれません。

家計消費からプランや端末購入に影響してくるかどうかは、もう少し時間が経って分析しないとわからない。ただし、足元では料金の支払期限の延期とか一部免除とか、そういうことはやっている。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

コロナに限ったことではないが、経済的に厳しくなっている人に対する料金プランもあっていいのではないか、とも思っている。コロナを受けた政府の給付金は全世帯が対象だが、われわれが通信料金の全体に救済(の値引きなど)を掛けると収入面で厳しくなる。

その中で、対象を絞り、救済できるような通信プランを提供することは考えられる。いろいろなアイデアを検討したい。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では「5Gを活用したコンテンツやサービス」「5G時代における競争軸」などについても語っている。
奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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