インスタグラムが「稼げる場所」に変貌する理由 広告収入に投げ銭、中小業者も集客に活用

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――とくにIGTVについては、2018年の開始当初からユーチューブのような収益化をしないのかという声も少なくなかったように思います。このタイミングで広告の仕組みの導入を決めた理由は。

これまでも検討は進めてきたが、コロナでそれが加速した。クリエイターと事業者ともに、コロナ禍を乗り切るために支援を必要としていた。これはバッジも同様だ。

根本的にはこの数年でIGTVを視聴するユーザー数や、クリエイターや事業者とのユーザーのエンゲージメント(かかわりの深さ)が大きく伸びたことが理由だ。インスタグラムで長時間の動画を見るという体験は新しかったが、着実に理解が進んだ。

フォローしているクリエイターがIGTVの動画を投稿すると、タイムラインにプレビューが表示される。これをタップすると本編に飛ぶようになる。そうした仕組みがその動画やIGTVの利用を促す起爆剤となった。

料理の注文機能を始めた理由

――動画を配信するクリエイターだけでなく、最近はインスタグラムに登録する飲食店などの中小業者が収益を伸ばすための機能強化も目立ちます。

スモールビジネスの支援もクリエイターなどと同様に大きな注力領域だ。飲食店向けには、4月に(「Uber Eats」などの提携サービスから)料理を注文する機能を、5月からは(割引で食事を購入できる権利などの)ギフトカードを買える機能をリリースした。

インスタグラムにおけるフードデリバリーの注文機能のイメージ(画像:Instagram)

やはりコロナの感染拡大を受け、機能を実現するために必要なサービスとの提携に向け世界各国で素早く動いた。注文機能は、4月の開始当初は国内パートナーがウーバー1社だったが、5月には4社が加わった。小規模店舗をなるべく多くカバーしていくために、適切なパートナーとの提携をなるべく早く増やしていく。

店舗からの反応もポジティブだ。注文機能を導入した都内のベトナム料理店は導入後最初の1週間の全注文のうち、約43%がインスタグラム経由だった。物理的な店舗に人を呼び込めない中でも、インスタグラム上で顧客とつながり、ビジネスを続けられるということを示せたと思う。

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