金沢発ゴーゴーカレーが「商社」を目指す事情 コロナで需要激減の居酒屋にカレールー提供

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カレー市場で規模拡大が難しい理由の1つが、原材料となるスパイスの調達だ。壱番屋がココイチを全国展開できたのは、2015年に親会社となったハウス食品からスパイスを安定して供給されていることが大きい。ゴーゴーカレーは2025年を目途にスパイス会社の買収を計画しており、原材料の調達から小売りまで一気通貫体制を整える。

海外展開の強化も見据えている。現在はアメリカに10店舗、ブラジルに1店舗のFC店を展開しているが、今後はプロデュース店舗を拡大していく。そのために、近年の新卒採用では商社志望の学生を積極採用しており、中川直洋副社長は「われわれはただの飲食店ではなく商社であるというメッセ―ジを採用説明会などでは伝えている」と語る。

不安が残る財務基盤

外販強化やM&Aを掲げるゴーゴーカレーグループだが、財務面は盤石とは言いがたい。人件費や設備投資などの成長投資が先行し、自己資本比率は約9%にとどまっている(2019年9月期)。

一方、東京商工リサーチによると、ゴーゴーカレーグループは2015年9月期以降増収を続けている。利益も、2018年9月期に不採算店舗の整理で特別損失が発生し最終赤字になった以外は、黒字を計上している。

東京商工リサーチ情報本部の増田和史課長は「健全な財務とは言えないが、成長企業は自己資本比率が低くなりがち。金融機関からも定期的に借り入れをすることができており、売り上げや利益でみると成長軌道にのっている」と分析する。

宮森代表も「負債が膨らんでいるのはすべて将来への積極的な投資のためで、コロナが落ち着くと市場が拡大して収益の増加が見通せる。最終的にはカレー業界のプラットフォーマーを目指す」と鼻息は荒い。

コロナで先行きが依然見通せない外食企業において、ゴーゴーカレーの商社化戦略は新たな外食のモデルとなるか。

中尾 謙介 東洋経済 記者

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なかお・けんすけ

1998年大阪府生まれ。現在は「会社四季報」編集部に在籍しつつ水産業界を担当。辛い四季報校了を終えた後に食べる「すし」が世界で1番美味しい。好きなネタはウニとカワハギ。

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