温室効果ガス25%削減に挑む--自社技術を活用、エコ工場で地道に削減を進める日立製作所
「一般的に工場のエネルギー使用量の約7割がモーター」(加藤主任技師)で、そこに自社の高効率モーターを導入してきた。だが、モーター改良による省エネ余地はわずか数%。むしろ、細かく出力を調整することが、習志野事業所がたどり着いたCO2削減の答えだ。
98年から順次、工場内の機械をネットワークで結び、稼働状況と電力消費を“見える化”してきた。結果、生産していない時も稼働を落とし切れていない機械が少なくないことが判明。インバーター化し細かく出力調整することで電力消費を削り込んでいった。
現場の施策は小さな工夫の積み重ねだ。たとえば、塗装工程。作業者に有害なガスが流れないよう排気ファンとポンプが稼働しているが、排気とポンプが必要なのは作業者が塗料を吹き付けている間だけ。そこで、仕掛かり品を交換するための移動時間には出力を一定まで下げるようにした。
このための工夫が、作業場所の床に設置したマット型スイッチ。インバーターと組み合わせればこまめに風量を調整できる。これにより排気ファンとポンプの電気使用量は約50%削減された。
アルミニウムの溶解炉では、都市ガスと混合するエアの送風をインバーター化し、細かく調整。高効率変圧器への切り替えや工場の作業用エアコンプレッサーのインバーター化、コンプレッサー室の換気扇を外気温に応じて出力調整を行うように改良するなど、細かい削減を積み重ねている。さらに、工場内の水銀灯を高効率照明器具に切り替え、消費電力を50~70%引き下げている。
以上の工夫は、いずれも電気使用量の削減だ。
これに加えて、ここ数年で強化しているのが、「創エネ」だ。2005年には電子部品工場の屋上に30キロワットの太陽光発電を設置、07年には工場用水を受け入れるパイプを活用し、出力1.5キロワットのマイクロ水力発電を導入した。今年2月には設計段階から環境仕様を織り込み、屋根に100キロワットの太陽電池パネルを設置した新生産棟が竣工する。