元宝塚男役スター退団後に浮かんだかつての夢 七海ひろきさんに聞く俳優に続く次の段階

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――仙名さんもおっしゃっていましたが、七海さんはギュッと濃い活動を多方面でされていますよね。退団されてから、「こんなことをやってみたいな」と思ったアイデアが形になったのですか?

七海:そうですね、退団までは先のことはまったく考えていなくて、タカラヅカの男役の道を貫くための努力をしていました。実は宝塚歌劇団を知ったのと同じくらいの時期に、声優というお仕事があるということも知ったんです。でも私はタカラヅカを選びました。退団してから「なにをしようかな」と改めて考えたときに、小さい頃にもうひとつの夢として心に持っていた「声優」をやりたいと思いました。

音楽のメジャーデビューに関してはご縁があって、最初お話をいただいたときはとても驚いたのですが、「七海ひろき」として表現することのひとつになればと思って決めたんです。

舞台は、お客さまと同じ空気を一緒に感じられる

――ほかにも、舞台やラジオなどいろいろなフィールドで活躍されていますが、それぞれ七海さんが思う魅力はどんなところでしょうか?

(写真:Domani)

七海:まずは舞台について。1月に『RED&BEAR~クィーンサンシャイン号殺人事件~』という舞台を演らせていただき、当たり前ですがタカラヅカとは違うところがたくさんあったんです。出演者の皆さんの取り組み方、お客さまの反応……発見だらけでした。

舞台は「生」だから、お客さまと同じ空気を一緒に感じられることが本当に魅力的だなと思います。静まり返った舞台で何かを発する瞬間、共演者のセリフで私の心が動かされる瞬間、そしてそれを見たお客さまがどう感じてくださるのか。毎回毎回違う空気をなんですよね。舞台を全身で演じることも楽しいです。今後も年齢や性別を超え、いろんな役に挑戦したいですね。

声優は、今まで何作品かやらせていただきまして、舞台とはまったく、180度くらい違うと感じました。同じ「演じる」ということでも、声優は自分の顔を思い浮かばせることなく、そのキャラクターの声を出さなければならないことが難しくもあり楽しいところです。キャラクターの声を突き詰めるため、舞台とはまた違った部分で緻密に演じなければならない。努力あるのみだなと感じています。

音楽は前に言ったように、ご縁があってメジャーデビューをさせていただきました。2枚目のアルバム『KINGDOM』は、すべての楽曲で作詞をさせていただき、『愛し君へ』という曲だけは作曲もしました。アルバムを作る際に、例えば「雨をテーマにした曲が作りたい」など、情景や雰囲気をリクエストして曲を作っていただき、それに私が歌詞を当てはめていくのですが、それを考える作業がとっても楽しくて大好き。これからも続けていきたいです。

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