米国「経済優先した州」と「そうじゃない州」の差

コロナ対策で国が完全に2分している状態

もちろん、北東部もこれまでに深刻な打撃を受けている。

ニュージャージー州、ニューヨーク州、コネチカット州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州では、合計死亡者数が6万1000人を超え、1人あたりの死亡率は国内で最も高い値となっている。長引く都市封鎖で経済も深手を負った。7月17日に発表された政府のデータによると、マサチューセッツ州の6月の失業率は17.4%に上昇し、全国で最悪となった。

だが世論調査では、北東部の有権者は今のところ、感染の拡大を防ぐために経済的な痛みが長引くのを容認する姿勢を示している。早い段階でパンデミックに襲われた東部の知事は、全国トップレベルの支持率を維持している。

都市封鎖にどのくらいの期間耐えられるかをマサチューセッツ州の住人に尋ねたサフォーク大学政治研究センターの5月の世論調査では、38%が「無期限に」と答えた。

「これは経済政策の問題ではない。生きるか死ぬかの問題だ」と、同センター長のデイビッド・パレオロゴスは語る。「人々が『何だってする』と言っている理由の核心には、このような見方がある」。

緊急対応で支持率は8割を突破

4カ月前、ニューイングランド地方の全知事が感染を抑え込むべく緊急措置の発動を迫られていた。3月上旬、公衆衛生の専門者の多くが直ちに行動するよう促していたが、知事らは都市封鎖を躊躇した。「もっと早く行動すべきだった」とジャー氏は言う。

しかし、その後の対応は積極的だった。マサチューセッツ州のチャーリー・ベイカー知事(共和党)は非営利団体「パートナーズ・イン・ヘルス」の共同創設者、ジム・ヨン・キム元世界銀行総裁と深夜に電話で話し、公衆衛生従事者を新たに1900人採用・育成して実施する接触追跡プログラムに5500万ドル投じることを決めた。同プログラムは数週間以内に軌道に乗せられた。

「ほかの知事も同じだと思うが、情報が完全にそろわない中で決断を下さねばならず、銃を突きつけられているような重圧を感じていた」とベイカー氏は吐露する。

マサチューセッツ州の追跡チームは7月までに、24時間以内に接触の9割を確認する体制を整えた。新規感染が大幅に減ったため、追跡チームの規模は500人に縮小された。

個人防護具の確保についても、中国からチャーター機を6便飛ばしてマスクを輸入するといった緊急措置がとられた。4月上旬にはアメリカンフットボールのプロチーム「ニューイングランド・ペイトリオッツ」のオーナー、ロバート・クラフト氏がチーム専用機を使って、N95マスクを100万枚、中国からボストンのローガン国際空港に空輸している。

「あの期間にはさまざまなことが起こり、異例の決断、リスクの高い判断が求められた。しかし私たちの多くは、自分たちがやらなければならないことをやっている、と感じていた」とベイカー氏。サフォーク大学の世論調査によると、ベイカー氏の支持率は6月下旬、81%に高まった。

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