米国「経済優先した州」と「そうじゃない州」の差 コロナ対策で国が完全に2分している状態

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春に受けた打撃の深刻さを考えれば、隔離措置に従う住民が多いのは当然だとベイカー氏は言う。「誰もがそうだが、私にも今回の件で直接影響を受けた知り合いがいる。とても近しい友人が死にかけたし、家族を亡くした友人もいる。私自身も介護施設にいる92歳の父と100日以上面会できなかった」。

北東部が今後どんな展開をたどるのかはわからない。南部と西部で急増した感染は他州にも広がり、7月第4週時点で感染が増加している州は41に上る。アトランティック誌の「COVID追跡プロジェクト」によると、新型コロナによる入院者数は春に記録したピークに近づきつつある。ここに来て感染者数がやや増加してきている州には、ロードアイランドとマサチューセッツも含まれる。

ニューヨーク州は経済活動を段階的に再開しているところだが、そうした中にあっても感染者数は減少が続いている。州当局は感染増加の兆しがあれば、躊躇なく封鎖を進めると警告している。都市封鎖が段階的に解かれるようになってから約2カ月が経過した今、ニューヨーク州の検査陽性率は1%程度にとどまっている。

データの変動を注視しながらであれば、北東部の州はこの夏、経済の再開を段階的に進めてもウイルスを制御し続けられると、ジャー氏は楽観的な見通しを示す。

「北東部の人々は南部で感染が広がるのを見て、仰天しているのではないか」とジャー氏。

嫌われ者になる覚悟

一方、メイン州のジャネット・ミルズ知事(民主党)は慎重な姿勢を崩していない。同知事によれば、メイン州の保健担当者は「ほっと一息ついている」にすぎない。一息つくといっても、もちろん「マスクを着けて安全に」だが。「ここ何週間かは特に状況が良くなっていると感じる。しかし、まだ危機を脱したわけではない」。

今後は春に行った封鎖措置の経済的なダメージが表に広がり、新たな難題が波のように押し寄せるだろう。失業者の特別手当は期限切れとなり、賃貸住宅から立ち退きを迫られる住民も急増すると予想される。

ミルズ氏が言うには、今年下した難しい決断の中でも、自宅待機命令ほど「苦渋に満ちた」ものはなかったという。

「誰だって、卒業式や結婚式、ビーチパーティーやバーをぶち壊す知事になんかなりたくない」とミルズ氏は話した。「誰も観光業者からやり玉にあげられるような知事になんてなりたくない。誰だって、そんな知事になんかなりたくないに決まっている」。

(執筆:Ellen Barry記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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