LINEとメルカリに共通する絶妙な稼ぎ方の本質

モバイルゲームやAKBも多段階価格設定が肝だ

べき乗則に従う場合には、例えば支払い意思額がいちばん高い人が100万円だったとすると、2位の人は50万円、3位は33.3万円、4位は25万円……のように、順位に反比例して減少する。つまり、下のほうの順位になると0に近似するような低い支払い意思額の人が大量にいることになる。

べき乗則に従うなら、ユーザーが数万人や数十万人いる場合には、支払い意思額の極端に高い人が、割合としては少ないながら、無視できない数で存在することになる。

そして、10万円を支払う1人からの収益は、1000円を支払う100人の収益に匹敵する。そのため、支払い意思額をそのまま収入に変えることのできる多段階価格差別では、そのような極端に支払い意思額の高い人からの収入がビジネス上重要となる。

例えば、先ほどのモバイルゲームの例で言うと、全ユーザーのうち支払い金額上位1%のユーザーが、全体の収益の実に57%を占めていた。究極的には、この1%のユーザーが存在するだけで、当該モバイルゲームは運営できてしまうレベルである。

上位1%の法則を収益に結びつける3つのポイント

では、この1%をどのようにビジネスに生かせばよいのだろうか。実は、最も重要なのは、「下位の99%は不要な99%ではない」ということを知っておくことである。具体的には以下3つを意識する必要がある。

第一に、少額の有料ユーザーや無料ユーザーも含めてユーザー数を多くする、裾野を広げる努力をする。当たり前であるが、上位1%から多くの収益をあげるためには全体の顧客数を増やし、その1%の人数を増やす必要がある。上位1%というのは、100人の消費者の中ではたったの1人だが、100万人の消費者の中では1万人も存在する。

そのように裾野を広げるために、「フリー」にして参入障壁を下げる、大々的に広告を打つなどに注力する。短期的には上位1%以外のユーザーを増やす行為ではあるが、中長期的には、やがてそこから新たな1%が生まれるのである。

第二に、無料ユーザーも満足感を得られる設計にする。情報社会のビジネスにおいては、ネットワーク効果が働くことで、製品やサービスの内容が同じでも、ユーザー数が増えれば効用は増大する。つまり、無料ユーザーの増加はサービス全体の価値を高めることにつながる。

99%を軽視するのではなく、むしろ継続的に顧客になってもらうための努力をすることで、上位1%のユーザの支払い意思額を増加させたり、継続利用させたりといったことにつなげることができる。

次ページ明確な差別化ポイントを用意しておく
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