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LINEとメルカリに共通する絶妙な稼ぎ方の本質 モバイルゲームやAKBも多段階価格設定が肝だ

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  • 山口 真一 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授
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人気メッセージアプリLINEも、「多段階価格差別」を採用しているサービスである。そう、LINEスタンプによる「多段階価格差別」だ。

ユーザーはただテキストで会話するだけでなく、LINEスタンプを使って、さまざまなイラストでそのときの感情を伝えたり、自分の好きな表現をしたりすることができる。このスタンプは膨大な種類存在する。

スタンプは無料のものもあるが、多くが100円、200円程度の有料である。そのため、「コミュニケーションさえできればよい」という一般的なユーザーはスタンプを使わないか、あるいは無料のスタンプだけを利用する。

しかし、コミュニケーションが好きでLINEに熱心なユーザーほど、さまざまな有料スタンプを購入してコミュニケーションのバリエーションを豊かにする。その結果、熱心なユーザーは満足いくまでスタンプに支払うという、多段階価格差別になっているのである。

さらに、LINEは「ネットワーク効果」が働き、ユーザー数が増えれば増えるほど、ユーザー1人当たりの効用は増加する。そして、メッセージは通信の秘密ということで解析対象としていないが、LINEショッピングや広告に対する反応など、さまざまなユーザーのデータを分析してサービスにつなげている。

つまり、「フリー」「ソーシャル」「多段階価格差別」「データ利活用」の4つの要素をすべてうまく組み合わせて運用されている。そう、LINEは、実はFSP-Dモデルによって高収益を上げるに至ったサービスだったのである。

ライトなユーザーはフリー(無料)で利用できる

フリマアプリのメルカリもそうだ。メルカリの主な収益源は販売手数料といわれる、ユーザー間で取引が成立された際に、成立金額の一部をメルカリに支払う仕組みである(出品した側が負担する)。

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そしてこれが実は、多段階価格差別的なビジネスモデルにほかならない。なぜならば、出品にそれほど興味のない人はメルカリにお金を払うことなく利用し続け、ライトなユーザーは少数の出品を行って少額の手数料をメルカリに支払い、熱心なユーザーは大量に出品して多額の手数料をメルカリに支払うためである。

さらに、購入だけならば無料で利用できる「フリー」であり、出品者が多いほどユーザー1人当たりの効用が増加するので「ネットワーク効果」も働いている。そして、ユーザーの「データ」を分析し、個人に合ったレコメンドをすることで、よりよいユーザー体験を提供している。メルカリも、LINEと同じくFSP-Dモデルなのである。

このように、一見するとまったく異なるビジネスモデルを採用しているように見えるものも、多段階価格差別やFSP-Dモデルという観点から整理すると、大きな共通点があるのだ。

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