路線はほぼ「Go To 東京」、埼玉ご当地鉄道事情 JRも私鉄もほとんどが都県境を跨いでいる

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18きっぷで大宮駅を無視して埼玉県を抜けようとすると、埼玉県内唯一の非電化路線でもある八高線に乗って関東平野の端っこをのんびり走らねばならぬのだ。

八高線の非電化区間を走る2両編成の気動車(筆者撮影)

筆者も何度か八高線の非電化区間(高麗川―高崎間)に乗ったことがあるが、まったく大都会の近くを走る路線とは思えないのどかな路線である。2両編成の気動車、という点だけをもっても人口730万人を超える県を走る路線らしからぬ風情。平日の昼下がりともなると乗客も数人ばかりと、純然たるローカル線である。

そうした一部の路線を除くと、ほぼすべての鉄道路線が大宮駅をハブとしている。埼玉県内の鉄道を乗り潰そうと思ったら、大宮駅をスタート地点とするのがよいように思える。

かゆいところに手が届く

大宮駅をハブとして、“東京を向いて”走っている埼玉県の鉄道ネットワーク。となれば、弱点となるのは県の東西を結ぶ路線である。大宮から県内の路線をあれこれ乗ろうと思っても、この東西を結ぶ路線が貧弱であるがゆえに難儀することになるのだ。

県内を東西に結ぶ秩父鉄道の電車(筆者撮影)

それもこれもほとんどの路線が東京を向いているから致し方ないし、先に登場してもらった浦和在住の知人も「いやあ……そんな路線があっても使わないでしょう、普通」と苦笑いをしながら一蹴するほどだ。さらに聞けば、「せいぜい武蔵野線を使うことがあるかな、くらいなものですよ」。乗り潰しを試みるわけでもなければ、東西を結ぶネットワークが貧弱でもあまり問題はないようだ。

とはいえ、まったくないのは困ったもの。東京だって、都心から放射状に伸びる路線ばかりで多摩地区を南北に結ぶ路線が貧弱すぎると言われるくらいだ。そうした中で気を吐いているのが秩父鉄道である。

東京都民にとって、秩父鉄道は西武池袋線・秩父線の終端の西武秩父駅と隣接する御花畑駅から乗り換えて、SLに乗ったり長瀞観光を楽しんだり、というイメージが強い。だが、秩父鉄道の本領はそこにはなくて、羽生―熊谷間。これによって、埼玉県東部を走る東武伊勢崎線と、中央部を南東から北西に向かって走るJR高崎線を相互に結ぶという役割を果たしているのだ。

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