資生堂が初の大型買収、攻めあぐねる北米市場

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資生堂が初の大型買収、攻めあぐねる北米市場

世界市場の攻略に向けて、資生堂が大型買収に乗り出した。15日、米化粧品メーカーのベアエッセンシャルを買収すると発表した。総額19億ドル(約1800億円)を投じ、完全子会社化を目指す。TOB価格は1株当たり40・8%(3カ月平均株価)と高いプレミアムをつけたが、「成長性が高く(買収金額は)割高とはとらえていない」と、前田新造社長は説明する。

ベア社は天然由来の成分を使った自然派化粧品の草分け。テレビショッピングなどの通信販売に強く、百貨店を中心に展開する資生堂とは一線を画した方法で、米国中心に販売を伸ばしてきた。営業利益率は31・5%と、資生堂の7・2%と比較しても抜群の高収益を誇る。

成長力に限界

今回、巨費を投じる背景には、北米事業の低迷がある。欧州やアジア・オセアニアと違い、北米は長年にわたって赤字体質が続いていた。2008年には米国子会社の統廃合など大胆な構造改革を進めて改善傾向にあったが、金融危機による世界的な市場低迷が直撃して再び失速。世界最大市場である北米のテコ入れは、喫緊の課題だった。

苦戦の要因は、ひとえに消費者のニーズに応え切れていなかったことにある。海外ではグローバルブランド「SHISEIDO」を軸にしながらも、欧州でフレグランスブランド、中国では専用ブランドを立ち上げるなど、複数を並立させることで細分化する需要に応えてきた。一方、北米はSHISEIDOしか育っていなかった。

世界市場を網羅する欧米メーカーのロレアルやP&Gは、すでに買収を活用して多数のブランドを保有している。片や資生堂は数の少なさから、成長力に限界が見え始めていた。この現状を打破するために、別の強いブランドが必要だった。

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