――2018年にJCIを設立したきっかけは何だったのですか。
2015年に採択されたパリ協定のもとゼロエミッション(温室効果ガスの実質的な排出ゼロ)に向けて、世界中の多くの企業や地方自治体が前に進む姿を見せ始めた。
だが、日本政府は、積極的な姿勢を見せなかった。ビクとも動かなかった、といっても過言ではない。もっといえば、日本では気候変動問題に対して先進的な取り組みを行っている企業や自治体が、政府に足を引っ張られている。
そういったこともあり、アメリカの「We Are Still In」(パリ協定への賛意を示すキャンペーン)と同様のネットワークが日本にもあってもいいのではないか、と考えて各企業に呼びかけたのがJCIの始まりだ。
――JCIの賛同団体はどのようなところが多いのでしょうか。
参加者は「われわわれはパリ協定が求める脱炭素社会に向けてのフロントライン、先頭に立って大きな努力をしていきます」という宣言に署名をする。
ソニー、リコー、日立製作所といった大企業もいれば、商工会連合会も参加している。東京大学、京都大学やNGO(非政府組織)、消費者連合会にも入ってもらっている。
メンバー数にすると、2800万人ぐらいになる。当初は30から50の参加団体があれば、御の字だと考えていた。だが、設立してすぐに100を越え、間もなく500(7月27日時点で492)になる。発足時から参加が途絶えることなく続いている。国内のビジネスや行政の世界で、気候危機をしっかり考えていく必要のあることが認識され、日本社会の底流になってきていると強く感じている。
ゼロエミッション時代の経済をつくる
――一方、ヨーロッパのグリーンリカバリーの意識はどれくらい高いのでしょうか?
欧州委員会は2019年12月に発表した成長戦略「欧州グリーンディール」の中で、「2050年までに欧州大陸を世界初となるゼロエミッションの大陸にする」と言っている。
そのために欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、「10年間で1兆ユーロ(120兆円)もの投資をする」と発言している。このグリーンディールをグリーンリカバリーの柱にすべく、ヨーロッパは動き始めている。
コロナ危機で縮小した経済を回復していくプロセスは、従来の経済を100%コピーするような姿勢ではいけない。簡単に言えば、コロナ禍を経て、ゼロエミッション時代のビジネスや経済をつくらなければならない。ある意味で手間暇がかかるので、一般的に産業競争力は瞬間風速的には落ちるかもしれない。
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