「電力会社よ、稼ぎ頭捨てよ」宣告の強烈な衝撃

旧式だが高収益の石炭火力発電に不適格の烙印

電力会社が貴重な収益源を失いかねない事態に陥っている(デザイン:内藤 明)

「非効率な石炭火力発電」がフェードアウト(退出)を迫られる――。

梶山弘志経済産業相は7月3日、発電効率が低く、二酸化炭素(CO2)を多く排出する旧式の石炭火力発電設備を動かせなくする規制措置を導入する方針を明らかにした。7月中に有識者を集めた会議の場で、具体的な制度設計の検討を開始する。

『週刊東洋経済』7月27日発売号は、「脱炭素 待ったなし」を特集。脱炭素に向けて加速する欧州に比べ、出遅れる形でようやく動き出した日本の課題を描いた。

原子力発電所の再稼働が遅れている現在、石炭火力発電が生み出す発電量は全体の32%を占めている(2018年度実績)。今回やり玉に挙げられた旧式の石炭火力は、その約半分を占める重要な電源だ。

環境性能では劣る反面、設備が簡素であるためメンテナンスが容易で、減価償却が進んでいることもあり、「競争力では非常に優位にあった」(JERA(ジェラ)の奥田久栄常務執行役員)。つまり電力会社にとっては「非効率」ではなくむしろ「高収益」の設備だった。

それだけに、電力各社への衝撃は大きい。虎の子の資産に対して経産省から環境性能の面で“不適格”の烙印が押されたからだ。方針発表後、電力各社には投資家からの問い合わせが相次いだ。

特例措置がなければ追い込まれる電力会社も

大手電力会社の中でフェードアウト政策の影響を強く受けそうなのが、沖縄電力、北海道電力(北電)、J-POWERといった、非効率な石炭火力発電への依存度の高い会社だ。

(出所)『週刊東洋経済』7月27日発売号「脱炭素 待ったなし」

北海道電力と北陸電力は敷地内の断層の活動可能性をめぐって原子力規制委員会と見解の相違があり、原発再稼働の見通しが立っていない。しかも、高効率の石炭火力発電所の新設・リプレース計画も持ち合わせていない。

沖縄電力はさらに厳しい。ほかの大手電力会社と電力系統がつながっていないからだ。5割以上を占める旧式の石炭火力発電所を休廃止した場合、供給エリアが電力不足に陥るおそれがある。

こうした電力会社は、特例措置がなければ、経営面で甚大な影響を被りかねない。経産省は「電力の安定供給は大前提」(幹部)と言うが、非効率石炭火力への依存度の高い会社が無傷で済む保証もない。

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