「電力会社よ、稼ぎ頭捨てよ」宣告の強烈な衝撃 旧式だが高収益の石炭火力発電に不適格の烙印

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エネルギーの安定供給と脱炭素化をどのように両立させていくのか、日本は極めて難しい課題を突きつけられている。

温暖化対策で、はるか先を行く欧州

世界に目を転じると、日本とは違った光景が広がる。先端を走るのは欧州連合(EU)だ。エネルギー面での取り組みや、環境などに配慮したESG(環境・社会・企業統治)投資の状況を比較すると、日本より欧州のほうがはるかに踏み込んで対応していることがわかる。

(出所)『週刊東洋経済』7月27日発売号「脱炭素 待ったなし」

2015年9月の国連SDGs(持続可能な開発目標)と、同12月の地球温暖化対策のためのパリ協定採択をきっかけに、欧州委員会は「サステイナブル金融に関するハイレベル専門家グループ」(HLEG)を設立。2018年1月のHLEG最終報告書において「タクソノミー」の導入が提言された。

タクソノミーとは、一般に「分類」を意味する。ここでは地球温暖化対策を進めるうえでの投資対象として、各産業分野における技術や製品の適格性を分類する。

今年3月にまとめられた「サステイナブル金融に関するテクニカル専門家グループ」(TEG)の最終報告書によれば、環境に優しいとされる「グリーン」に分類された投資対象に石炭火力発電は含まれていない。

それのみならず、相対的にCO2排出量の少ないガス火力発電についても、CO2排出を1キロワット時当たり100グラムまでにとどめなければ、「サステイナブル」(持続可能)とは認められないとされた。日本の現在のLNG(液化天然ガス)火力発電から排出される量、1キロワット時当たり478グラムの4分の1以下の水準だ(電力中央研究所調べ)。つまり、CO2の回収・貯留(CCS)技術を付加しない限り、LNG火力であってもグリーンに分類されることにはならないのだ。

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