夏マスクの「かゆみ」に悩む人に伝えたい対処法 対策を取っている人は、3割程度しかいない
マスク着用で増えた皮膚トラブル
医者になってからしばらく、私はマスクをせずに診察することが多かったように思います。今から考えると感染症対策として問題がありますが、当時意識していたのは「医者として患者さんに冷たく映らないように」です。
お話をするときにこちらの口元が見えるのと見えないのとでは、だいぶ印象が違います。マスクで口を隠すとどうしても表情が伝わりづらく、患者さんにとっては「怖い」という印象を与えかねません。
マスクはもともと、1897年、ポーランドの外科医ヤン・アントン・ミクリッチ=ラデツキらが手術時に綿製のフェイスマスクを使用したことに始まります。
現代の手術用マスクは、主に外科医を中心とした医療従事者向けに設計されており、手術現場において医者の呼気からの病原体を防ぐために使用されています。議論の余地を残す問題ではありますが、マスクは人から人への呼吸器系のウイルス感染を防ぐと考えられています。
新型コロナウイルス感染症が拡大し、医療従事者だけでなく一般の人も日常からマスクをすることが増えました。私たち医者でもマスク着用の時間が長くなると、皮膚がかゆくなったりニキビが悪化したりします。
私の場合はマスクをした部分に吹き出物ができやすいので、結構つらいです。
マスクの着用が増えたことによって一般の人がどれだけ困っているか、きちんとした研究はこれまでありませんでした。最近になってやっと海外の報告が出ています。
(Acta Derm Venereol. 2020 May 28;100(10):adv00152. doi: 10.2340/00015555-3536.)
2315人を対象とした海外の調査ではマスク着用の約20%の人がかゆみを感じているとの報告でした。