投資で外貨を持つことがほとんど無意味な理由 多くの人が誤解している「シンプルな事実」
最近は、「外貨建て」での資産運用を勧められる機会が少なくないように思います。「人口減の日本経済や円は厳しい」などの理由がつけられるようですが、ごくシンプルな外貨預金から始まって、外貨建ての個人年金保険や、新興国の高金利の海外債券といった商品が盛んに宣伝されています。
「外貨を持つこと」と「外国資産を持つこと」は違う
結論から言えば、これらに投資をするのはほとんど意味がないと言ってもいいと思います。外貨建て資産で投資してもいいのは一部の外国株式や海外不動産ぐらいのものでしょう。私自身、海外不動産はほとんど知識もないし投資経験もないので保有していませんが、外国株式はいくつか持っています。
多くの人は、どうやら「外貨を持つこと」と「外国資産を持つこと」の意味を混同しているような気がします。私は外国資産を持つことの意味はあると思いますが、外貨を持つことについての意味はそれほどあると思えません。ところが、冒頭でも触れたように、一般的によく言われるのが、「今後の日本の経済情勢を考えた場合、日本円だけしか持っていないというのは、大きなリスクだ」ということです。でも本当にそうでしょうか?
考えてみてください。いくらドルやユーロを持っていても、それを日本国内で使うことはほとんどできません。日常生活においては日本円を使っているのですから、いくら外貨をたくさん持っていてもそれを円に換えなければ使うことはできないからです。
したがって、年に何度も海外旅行に出かけるとか、海外に家族や親族がいて送金することがたびたびあるとか、あるいは海外に移住する計画を持っているということであれば外貨は必要でしょうが、そうでなければ外貨を保有し続けることには、あまり意味はないのです。
ところが、中にはこう言う人もいるでしょう。「だけどかつて1ドル=70円や80円という円高の頃にドルを買っておけば儲かったのではないか? だから意味がないことはないでしょう」と。もちろんそれはそのとおりです。でもそれは、はっきり言って“たまたま”儲かっただけではないでしょうか。
外国為替取引というのは、「通貨同士の交換比率の変動に賭ける行為」が主体ですから、投資というよりもむしろ投機に近いものです。したがって、安定的に資産を増やすやり方としてはあまりいい方法とは言えません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら