自販機オペレーター「残業代未払い」の残酷物語 休憩なしで帰宅は深夜、知られざる過重労働

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自販機オペレーターの従業員はなぜ過重労働に陥っているのだろうか。根本的な問題として、飲料メーカーなどが自販機を設置しすぎたことで、自販機オペレーターの従業員の作業量が急増している可能性がある。

飲料業界のデータをとりまとめている飲料総研の調べによると、国内で稼働している飲料自販機は2013年まで微増傾向にあった。直近ピークとなった同年の247万台と比べると、2019年末時点は230万台で7%減っている。

だが、自販機での飲料販売数量はこの間、それ以上の14%も減少している。一方でスーパーやコンビニなどを含めた飲料市場全体での販売数量は2%伸びている。

自販機ビジネスの全体像とは

販売数量の減少ほどに自販機の台数が減らない理由を知るには、自販機ビジネスの全体像を押さえる必要がある。 

自販機オペレーターは全国に大小合わせ300~400社あると言われる。その業務は商品補充や代金回収だけにとどまらない。さまざまなケースがあるが、一般的にはまず飲料メーカーから自販機用の商品を仕入れて、飲料メーカーから無償貸与される自販機を設置する。自販機の設置場所を確保するべく地主と交渉するのも自販機オペレーターだ。

売り上げから上がる利益はどのくらいになるのか。商品の原価は自販機での販売価格の2~3割とされる。さらに地代として、地主に販売価格(売上高)の約3割を払わないといけない。

販売価格が100円とすると、これらを差し引いた50円がおおまかな利益となり、そこから物流費や人件費を引き、残った額を自販機オペレーターと飲料メーカーで分ける。最終的に飲料メーカーの利益となるのは自販機の売り上げの1~2割だという。

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