吉村洋文が大阪都の実現にトコトンこだわる訳 45歳の若き府知事が突き進んできた政治家の道

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塩田:現在、大阪府知事として、橋下氏から学ぶべき点は。

吉村:政治家として何が必要か、しっかり見定めて、すべての点で背骨を作り、肉付けをしていくというやり方ですね。自分たちの利得ではなくて、都構想を実現して大阪を成長させるという点に絞っています。全くぶれない。府民の皆さんは、特定の人たちの利益でなく、大阪の利益になるとうすうす感じていると思います。そこが参考になります。

近くで学んだのは、政策にはやっぱり成功、失敗があるけど、きちんと方向を誤らずに進んで行ったら、致命的にはならないだろうという点です。やるべき改革の軸さえしっかりしていたら、失敗する政策があっても、府民、市民の皆さんは比較的受け入れていただける。反対に、絶対にやってはいけないのは、権力を握って何か隠してうまいことをやってやろうとか、権力を利用して何かをやろうという政治家の臭い部分に絶対に手を出さない。公平公正に。これが橋下流です。政治家として、権力を使ったずるさは絶対にやらないと決めています。

塩田:もう1人の先輩の松井氏を政治リーダーとしてどう見ていますか。

吉村:とにかく人情味が厚くて、人を思いやる親分肌の政治家です。魑魅魍魎の政治の世界をうまくまとめながら進めていく。見た目はちょっといかつい感じですけど、多分、維新のリーダーの中でいちばん優しい性格だと思いますね。橋下さんと僕は、どちらかというと薄情タイプだと思います。政治集団をまとめて動かしていくリーダーという意味では、橋下さんより松井さんのほうが手腕を持っている。2人がうまくマッチしてきたことが、維新の会が今も存続している大きな理由ではないかとは思います。

塩田:コロナ危機に直面して、国と地方のあり方が身近な問題として浮かび上がってきました。古くて新しい政治課題ですが、どんな取り組みが必要だと思いますか。

国と地方の役割分担をより明確に

吉村:国と地方の役割分担をより明確にして、国の力をもっと強くすべきだと思っています。国は本来やるべき仕事に集中できるように、仕事を絞り込んで、国力を高めるべきです。例えば外交、防衛、マクロ経済などの権限は国に集中させる。

一方で、地方の仕事は全部、権限と財源も与えて地方にやらせる。今は身近な社会福祉の問題など、全部、国会で議論していますが、都道府県や市町村でやる仕事は、国会ではいっさいやらず、国がすべき仕事だけに集中したほうが絶対いいと思います。

そういう環境にしなければいけない。それには税金の仕組みを変え、地方交付税交付金というやり方を廃止することだと思います。税収は、ざっくりと言うと、国税が約6割、地方税が約4割です。(2019年版「地方財政白書」掲載の2017年度決算によると、租税総額は約102兆円で、そのうち国税が61%の約62兆円、地方税が39%の約40兆円)。ところが、実際の仕事の割り振りは、国と地方は4対6で、逆になっている。国は一度、税金を集めて、地方交付税などの形で地方に配る仕組みになっています。

地方交付税でばらまく仕組みだから、国は交付税にひもを付けて、あれやれ、これやれと言うわけです。それを認めると、結局、国の仕事が増えるだけです。僕はそのシステムを廃止して、地方で集めて地方で使う形に、と言っています。国と地方の役割分担を明確にしたほうが、国にとってもいいのではないかなと思います。壁は霞が関の官僚機構です。中央集権ですべてを牛耳る体制を続けたいのです。そこに大きな問題があります。

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