巨大駅新宿、悲願の自由通路で「東西分断」解消 8年がかりの大工事、東口と西口がついに直結

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新宿駅周辺の人の流れを大きく変えると予想される東西自由通路。開通によって東西の往来が活発化することを見据え、東口駅前も歩行者空間を拡大し、広場にパブリックアートを展示するなど装いを新たにした。

だが、新宿駅とその周辺の変化はこれからが本番だ。東京都と新宿区は2018年3月、今後の駅周辺再開発の指針となる「新宿の拠点再整備方針」を策定した。2040年代を見据え、駅や駅前広場、駅ビルなどを一体化した「新宿グランドターミナル」として再開発する構想だ。

旧西口改札付近から見た東西自由通路。東口までは100mの距離だ(撮影:梅谷秀司)

同構想の大きな要素の1つが「交流軸の構築」だ。線路上空に東西を結ぶデッキを新設し、地下の自由通路とともに東西を結ぶ軸とする計画で、「各線の改札が集中する地下以外にも人の流れをつくることで、東西の移動をスムーズにし、回遊性を高める」(新宿区新宿駅周辺基盤整備担当課)狙いがある。

また、JR線路上空にはターミナルのシンボルとなる広場を設けるほか、地下では京王線のホームを北側に移動して乗り換えの動線を改善する。完成すれば、新宿駅はその姿を大きく変えることになる。

自由通路は変化の第一歩だ

現在見られる新宿駅の姿は、おおむね昭和30年代から40年代前半にかけて形作られた。1963年に京王線の駅が地下化し、翌1964年には小田急線の駅が地上と地下の2層構造になった。今は「ルミネエスト」となっている東口の駅ビルが開業したのは同年5月。東西自由通路に生まれ変わった北通路が幅18mに拡幅されたのも同年9月だ。

東西自由通路(中央)と東改札・西改札の位置を示す駅構内図(撮影:梅谷秀司)

それから50年余りを経て、新宿駅は再び変化の時を迎えている。都心部の駅周辺再開発では渋谷や品川などと比べてやや存在感の薄かった新宿だが、西口でも小田急電鉄と東京メトロが計画する大規模再開発など、今後に向けた動きが進みつつある。

東西自由通路は「グランドターミナル」構想の一環と位置付けられている。今回の開通は駅の利便性を向上させるだけにとどまらず、これから始まる新宿の大変化の第一歩といえそうだ。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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