巨大駅新宿、悲願の自由通路で「東西分断」解消 8年がかりの大工事、東口と西口がついに直結

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新宿区によると、東西自由通路の整備を求める声は昭和50年代からあった。東西の分断は地元の課題だったといい、同区新宿駅周辺基盤整備担当課の担当者は「自由通路の開通は悲願の達成」と語る。

自由通路は、これまでJRの東口改札と西口改札をつなぐ改札内のコンコースだった「北通路」を改築して整備した。2008年にJR東日本と新宿区が整備に向けた基本協定を結び、実際の工事は2012年9月にスタートした。

事業は東京都や新宿区、JRなどで構成する「新宿駅周辺地区都市再生協議会」が主体となって実施。総事業費は約122億円で、国と東京都、JR東日本が3分の1ずつ負担している。

駅を盛土から高架構造に

以前から存在した通路を改築するのに約8年もの期間を要したのは、大がかりな拡幅工事を行ったためだ。

従来の北通路の幅は約17mだった。これを25mに広げるため、もう1本の改札内コンコースである中央通路との間の土砂を掘削し、盛土の上にあった線路やホームを高架構造に造り変えた。

盛土から高架構造に造り変えるには、いったん線路を仮の橋台と桁で支えたうえで土砂を掘削する必要があるが、「新宿駅は1日に2400本の電車が走っており、作業できる間合いは1時から4時半までの間。実際には2時間半ほどしかない」(森山英彦駅長)。ビルに囲まれた都市部だけに、資材の搬入や掘削した土砂の搬出も容易ではない。

自由通路開通前の新宿駅東口改札=2020年7月14日(記者撮影)
東西自由通路開通後の旧東口改札付近(撮影:梅谷秀司)

JR東日本東京支社によると、線路を支える仮の橋台や桁は、線路上を走れる「鉄道クレーン」と呼ばれる重機で搬入。掘削した土砂は西口から人力で運び出したほか、運搬用のトンネルを掘ってベルトコンベヤーを設け、東口広場に設置した工事用ヤードに輸送して搬出した。高架橋を造るための資材は、夜間に西口から改札脇を通って現場に搬入したという。

掘削の範囲は自由通路がある地下1階だけでなく、さらに下の地下2階にまで及んでおり、この部分には電気設備や空調設備を配置している。

7月18日の終電後には、これまで東口・西口改札で使っていた自動改札機を取り外して新たな改札口に移設した。そして翌19日の始発から、東西自由通路と新しい東改札・西改札の使用が始まった。通路内はまだシートで覆われた部分なども目立ち、今後も工事は続くという。

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