「U-NEXT」はネットフリックスにどう対抗するか 市場は拡大傾向だが、競合が相次ぎ参入へ

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――動画配信の中で価格が高いU-NEXTの強みは何でしょうか。

シンプルに見放題作品のラインナップの豊富さだ。映画だけでなく、各ジャンルで一番品ぞろえしているという思いで運営している。2019年1月は見放題作品が9万本だったのが1年半で19万本まで増やした。また、新作の映画やドラマをTVOD(都度課金型)と、SVOD(定額課金型)のハイブリッドで提供しているのも特徴の1つだ。レンタルも含めると21万作品を視聴できる。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

多くの作品があって、新作も見ることができる。この2つに価値を感じていただけている。他社のサービスに入って、言葉は悪いが観たいものをある程度観つくしたというユーザーが、2番目、3番目のサービスとして、U-NEXTを試して、そのまま定着していただいているケースもある。

カギを握る品ぞろえとユニークさ

――ネットフリックスをはじめとして、オリジナル作品に傾注する競合も多いですが、U-NEXTではそういった取り組みがあまり見られません。

オリジナル作品も作品の豊富さも、両方必要だと思っている。これは単純に順番の問題だ。他社がオリジナルをファーストに動いているとすれば、過去の2、3年のわれわれは品ぞろえの充実を優先してきた。フェーズで申し上げると、まさにこれから(移行していく)という段階だ。品ぞろえとユニークさ、この2つがかみ合ったときに、ユーザーの満足度もさらに上がるだろう。

つつみ・てんしん/1977年生まれ。東京大学工学部を卒業後、リクルートに入社。2006年にUSEN に転職。VOD(ビデオ・オンデマンド)サービスの立ち上げを担う。2010年以降はU-NEXT を事業本部長を務め、2017 年から現職(撮影:今 祥雄)

いま、動画配信を複数使うユーザーがどんどん増えてきている。今月はこれで、来月はこれ。もしくは同時に2つ、3つ入るユーザーもいる。あるユニークなコンテンツを見たいために、そのサービスに入るというのは自然な消費行動だ。

今後、オリジナルをやるとなれば、他社と同じようにユニークさを打ち出すことになるので、U-NEXTであれば何が楽しめるのかということに対して、「こういうことが、ここだけで楽しめますよ」ということを近々強化していく。 

――ディズニープラスやAppleTV+の参入など、定額型動画配信サービスの市場環境は競争が激化しています。

プレイヤーが増えているのは事実だ。パイの奪い合いという意味でも、コンテンツの奪い合いという軸でも競争が激化している。他社と同じ戦略をやるとのまれるリスクもある。各社がどこに差別化ポイントを置くかというのは1つの軸となる考え方だろう。

例えば、動画配信を本業にしているネットフリックスはその中で生き残る可能性が高いだろう。Amazonプライムもユーザーから見たときに圧倒的な価格メリットがある。Amazonプライムが数年後なくなっていることは想像しづらい。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では「ネットフリックスやAmazonプライムの強さ」「サザンオールスターズの無観客ライブの配信」などについても詳しく語っている。
井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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