時代遅れの「日本型教育」を変える"3つの提言" 今こそ求められる「オンライン授業」のあり方

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このような双方向型の授業では、オンラインビデオ会議システムの「ブレイクアウトルーム」という機能を使っている。システム上で参加者を小さなグループに分けられる機能で、これがかなり効果的だ。若干のタイムラグはあるものの、リアルと遜色ないレベルで学生とのディスカッションが行える。

オンラインビデオ会議システムの機能を上手に活用することで、双方向型授業は効果的に実施できる。オンライン授業の導入にあたって、学校では生徒が積極的に参加するための双方向型授業の工夫を図ってもらいたい。

次に3つめの問題点についてであるが、日本の中学・高校での英語教育の問題は「英語をしゃべることができない教員」が教えているところにある、と筆者は考えている。教員も文法・読解を学校で学び、それで教員資格を得ているのだから、仕方のないことだ。

しかし、オンラインでの英語の授業であれば、ネイティブの英語教師がいない学校にも、ネイティブの英語教師によるスピーキングやヒアリングの授業を届けることが可能になる。

ITについては、生徒に1人1台のパソコンを早急に支給することが必須条件となる。財源をどうするかという課題はあるが、それが実現できれば、生徒が自宅でオンデマンドの映像授業を見られるようになる。

加えて、教員が生徒にインターネット検索で調べる課題を出したり、その結果を文章作成ソフトでまとめてレポートを提出させたり、その内容をクラスの人にプレゼンテーションしてもらうなど、生徒の積極的な参加を促す授業を行うことも可能となる。生徒がパソコンに慣れ親しんでくれば、社会に出る前に基本的なパソコンの操作能力を身に着けることができる。

新たに求められる教員の新しい役割

これまでも現場でいろいろな工夫をし、双方向型授業やITを利用した授業に取り組んできた教員もいると思う。だが残念ながら、大多数の教員は知識提供型教科の一方通行型講義だけを行ってきたというのが学校教育の実態だ。

その部分が映像化・オンデマンド化されるとすれば、現場の教員の役割は大きく変わっていく。IT活用による双方向型授業へのシフトが望まれる。そのためには、教員に新たなスキルを身に着けてもらうことが必要になる。

教員の中には、これに対応できない人が出てくる。そして、現場の教員から「全国一律のオンライン教育はわが校の実情に合わない」「双方向型授業は現場への負担が過重なものとなる」と反対する声が出てくることが容易に予想される。

しかし、わが国の未来を担う若者を育てるための学校教育である。こうした抵抗勢力に負けている場合ではない。オンライン化に合わせて、その機能を最大限に生かす、大胆な学校改革が実現されることが大いに期待される。

植田 統 国際経営コンサルタント、弁護士、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授

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うえだ おさむ / Osamu Ueda

1957年東京都生まれ。東京大学法学部を卒後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。ダートマス大学エイモスタックスクールにてMBA取得。その後、外資系コンサルティング会社ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(現PWCストラテジー)を経て、外資系データベース会社レクシスネクシス・ジャパン代表取締役社長。そのかたわら大学ロースクール夜間コースに通い司法試験合格。外資系企業再生コンサルティング会社アリックスパートナーズでJAL、ライブドアの再生に携わる。2010年弁護士開業。14年に独立し、青山東京法律事務所を開設。 近著は『2040年 「仕事とキャリア」年表』(三笠書房)。

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