コロナで閉じた国境の「再開放」望ましい処方箋 感染拡大地域からの受け入れをどうしたら

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検査体制を強化するには、検査施設や検疫官の増強に加え、安全で、簡便に、かつ迅速に、できるだけ正確に検査できる技術を実装していくことも求められる。すでに実施されている唾液PCR検査や、核酸増幅法(SATIC法)によるウイルス迅速診断法は検査者の感染リスクを大きく軽減し、検査件数の増大にも寄与する。ロジスティクスの観点からは、検査結果が出るまで渡航者が待機する施設、そこまでの移送、待機施設の運営能力の整備も必要である。

第2に、国内における受け入れニーズを踏まえ、渡航者の受け入れが必要か、である。国内滞在者の親族、政府要人、専門家、企業幹部、留学生、労働者、観光客など、どのカテゴリーの人々を、どの分野や業種から受け入れるべきか。その優先順位づけと、水際での受け入れ能力に応じた人数規制の設定が必要となる。

要人往来は今後さらに進む

日本政府は7月9日、アメリカのビーガン国務副長官兼北朝鮮担当特別代表の訪日を受け入れた。COVID-19の感染拡大以降、政府が入国拒否措置をとった国からの初めての要人来日であった。人数を絞った訪日だったが、ビーガン国務副長官にはアレックス・ウォン国務省次官補代理(北朝鮮担当)が帯同していた。訪日2日目の10日には北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長が非核化について「今はできない」とする長文の談話を発表したが、日米の緊密な連携を世界に示す好機となった。こうした要人往来は今後さらに進むだろう。

第3に、入国後の行動状況についてのモニタリングと接触追跡の体制が整備できているか、である。連絡先、活動計画を事前提出させるとともに、厚労省や保健所から滞在先等への所在確認もできるようにする。ここでは接触追跡アプリの活用が有効であろう。位置情報を提供するからこそ使える交通案内や観光案内、宿泊地・Wi-Fiスポット検索などのサービスと連携したスーパーアプリとして提供することも一案である。

今後、2国間(バイ)の協定を積み重ね国際的な人の往来は少しずつ再開されるであろう。同時に、単に開放するだけでなく、基準に沿って入国を再度制限する動きも出てくるだろう。ウィズコロナ時代の出入国管理において今後課題となるのは、プロセスの効率化と標準化である。検査陰性という健康情報(health data)を、多国間(マルチ)で相互承認するルール形成が課題となる。

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