リニア「ルート変更」静岡知事が明かす発言の裏 JR東海社長への「あいまい対応」の理由も説明

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会談終了後の記者会見で、藤田次官は、「条例の手続きの問題を議論しているときに安全の問題がどのように関係しているのか。安全の問題は必要な法令で対処するべきであり、条例とは関係ない。知事の説明は理解しがたい」と話した。

報道陣から次官に対して、「静岡県のせいで遅れているわけではないと次官の口から表明してほしい」という要望も出た。県外から見ているとあまり気にならないが、静岡県内には「静岡県のせいで」と感じている人が多いようだ。次官は「誰のせいという次元の議論ではない。大事業に困難な状況はいくつもあり、問題があれば解決しましょうということ」と答えた。

続いて会見の席に現れた川勝知事は、「次官が何が不安か具体的に示してほしいと言ったので、坑口の作業をする人の安全をどうするかという具体的な話をした。県は現場を見ているが、とても仕事をできる状態ではない」と早期の着工は現実的に困難という見解を示した。ただ、条例に安全面の項目がない点は、その後に県の事務局が認めた。

知事「金子社長は条例熟知していなかった」

ヤード整備を容認するのかという誤解すら招いたほどソフトに進んだ金子社長との会談に比べて今回の会談が白熱した理由については、「話の内容はどちらも同じ。JR東海の現場の人たちは条例の中身をよく知っているが、金子社長は条例を熟知していないことがちょっと話してすぐわかった。持ち帰って検討するというので、“どうぞ”となった」と知事は話し、ヤード整備を認めたかのような対応をした理由を明かした。

さらに、川勝知事との会談後、金子社長が当初5分の予定だったぶらさがり取材を3分で切り上げたことに言及し、「金子社長は“静岡県がヤード整備を認めず2027年の開業が無理になった”とおっしゃるつもりだったのでしょう。でも、私はそういうシナリオがあるのを知っていたから」と話し、会談の展開が金子社長に「静岡のせいで」という言質を与えないための雰囲気作りだったことを示唆した。

一方で、藤田次官については、「なにがなんでもやらせるという強い意志をお持ちになってきた。しかし、それは結論が出ているからできないときっぱりと申し上げないといけないので、こういう会談になった」と説明した。

次ページ表面上は「物別れ」だが前進した部分も
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