リニア「ルート変更」静岡知事が明かす発言の裏 JR東海社長への「あいまい対応」の理由も説明
「次官がこちらにいらっしゃるという。突然だったが、10日は県議会が終わった後は予定がなかったのでお受けしました」。会談後の記者会見で川勝知事が舞台裏を明かした。職員が事前に大井川流域10市町首長の意見を聞いて回ったという。「流域首長はみな一体で動いていますから、迷った人はいませんでした。 “あとは知事に任せる“と」。知事はこう発言し、流域市町の首長との一体感を強調した。
そして、7月10日、藤田次官はまず、朝10時に東京・霞が関の国交省で金子社長と会談した。30分後、会談を終えた金子社長は、「文書の内容について説明を受けた」とだけ報道陣に述べ、足早に去った。
その後、JR東海からコメントが発表された。提案の(1)については「すでに約束している」、(3)については、「(変更になるという状況は)回避したいところだが、仮に変更が必要になった場合には当該の変更を実施する」という国交省提案に沿った内容だ。
金子社長は、川勝知事との会談で、「もし水が戻せないとなった場合はどうするのか」と聞かれ、「そういうことはなかなか考えにくい」「そういうことを乗り越える技術の力はあると信じている」と答えていた。「仮に変更が必要になった場合には変更する」という今回のコメントは一歩踏み込んだ格好だ。
知事と次官の議論は白熱
そして、夕方5時から県庁で藤田次官と川勝知事の会談が始まった。開始の30分前から知事室がある階のエレベーターホールには大勢の報道陣が詰めかけていた。
川勝知事は金子社長を県庁舎の玄関で出迎えたが、藤田次官は自分で知事室に向かうという。「次官の顔がわからない。ちゃんと撮れるかなあ」と、そばにいたテレビ局のカメラクルーがぼやいていたが、杞憂だった。5時直前、部下を従えエレベーターから出てきた眼光鋭い人物。雰囲気だけで藤田次官だとわかった。
知事室で川勝知事が藤田次官をにこやかに出迎え、会談はスタートした。ただ、会談の大半がソフトなムードで進んだ金子社長とのときとは異なり、今回はあいさつもそこそこにすぐに丁々発止の議論となった。
次官による3つの提案に対して、知事は「2018年8月に坑口整備はトンネル工事と一体であるとして容認しなかった、2019年5月にも流域首長と話し合ったがやはりトンネル工事と一体という共通理解がある」と説明。さらに、県議会がルート変更に言及していることにも触れた。
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