そのため、できればコロナ禍など経済危機にも耐えられる、安定した会社への志向がより高まりそうだ。その安全性を表す指標として自己資本比率がある。自己資本比率は総資産に占める自己資本の割合で、内部留保(利益剰余金)などが多ければこの数字は高くなり、経営的に盤石という見方ができる。逆に借入金(有利子負債)や未払金などが多いと、自己資本比率は下がり、経営が揺らぐ可能性が比較的高まる。
ではどの程度が妥当なのか? 財務省の「法人企業統計調査」(2019年度)によると、金融業を除く自己資本比率の平均は42.0%。業種によっても異なるが、概ね50%程度あれば平均以上で安定的な企業であることがわかる。
そこで今回、『就職四季報 2021年総合版』から自己資本比率50%以上の会社を抽出し、平均年収800万円以上の「給料が高くて経営が安定的な企業・法人」を、年収順のランキング形式でまとめた。なお、ここでは自己資本比率での比較が難しい金融業を除く一方で、政府保証があり倒産リスクが低い政府系法人を含めた。なお、未上場会社を中心に決算期が1年前の2019年3月期の会社もあることをお断りしておく。
キーエンスは自己資本比率も高い
結果、約1600社のうち、対象になったのは146社。首位は工場などの自動化機器で使われる各種センサーを製造・販売するキーエンスとなった。高収益企業として知られ、さまざまな年収ランキング上位に顔を出す同社だが、有利子負債もなく自己資本比率もトップの95.8%となった。
2位は近畿圏をエリアに持つ大阪の放送局である朝日放送テレビ、3位は工作機械用NC(数値制御)装置の世界首位メーカーで産業用ロボットも手がけるファナック、4位は半導体製造装置世界3位の東京エレクトロン、5位シンクタンクの野村総合研究所と続く。
対象になった会社の業種を見ると、医薬品と化学、建設の3業種が最多15社で並んだ。この3業種だけで全体の3割を占めている。自己資本比率が90%以上は4社(1位キーエンス、41位オービック、105位シマノ、140位マブチモーター)となった。
前述したとおり、自己資本比率の平均は業種により差がある。法人企業統計調査によると、製造業の自己資本比率は49.0%、非製造業で39.1%となっており、また金融業は、自己資本比率とは異なる安全性の指標がある。これから会社研究をする際には、単に自己資本比率が高い会社を探すのではなく、業界平均や競合会社と比べてほしい。
インターンシップの参加を検討する2022年卒にとって、会社研究は何をするものなのか、わからない人も多いだろう。自分の優先度の高い事柄を軸にすると、会社研究のきっかけになるはずだ。安定性が高くて給料が高い会社を志望するのであれば、このランキングを参考にしてほしい。
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