在宅勤務で「孤独に悩む人」「元気になる人」の差 今こそ見直したい「フィードバックの有用性」

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この点で私は彼に共感します。私が新卒で入ったリクルートは「フィードバックの文化」を呼ばれるほど、「お前ってこうだよね」と、他者にどんどん言及する職場でした。私は心の弱い人間でしたので、実を言うと、人の心に土足でズカズカと入り込む文化が最初は嫌で仕方ありませんでした。

自分の中に信念があっても、上の人からフィードバックを受けると、ブレてしまい悩みます。そして、そこまで言うならと上司や先輩のフィードバック通りにやって失敗し、やっぱり自分の思う通りにやればよかったと後悔することも多くありました。

まれに素晴らしいアドバイスもありましたが、多くのフィードバックは私にとってはむしろ障害だったのかもしれません。

今こそ見直したい「フィードバック文化」

決してフィードバックすることや、それを受け入れることを全否定しているわけではありません。むしろ、人間はフィードバックを受けなければ成長できない生き物です。

しかし中には、フィードバックよりも、他者の観察や自己反省を通じて成長するタイプの人材がいることも事実です。そうした人材は、信頼関係が十分でないような他者からのストレートなフィードバックを本気で受け止め、傷ついたり、それが足かせになってしまう可能性もあります。つまり、フィードバックが「ノイズ」となってしまうわけです。テレワークだとノイズが減るため、前述の20代男性のようなタイプはいきいきとするのではないでしょうか。

もしテレワーク導入後、いきいきとする社員が増えたのなら、無理に以前のような働き方に戻さないほうが会社にとってもメリットが大きいのかもしれません。

曽和 利光 人材研究所 社長

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そわ としみつ / Toshimitsu Sowa

株式会社人材研究所 代表取締役社長、組織人事コンサルタント

京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。現在、人々の可能性を開花させる場や組織を作るために、大企業から中小・ベンチャー企業まで幅広い顧客に対して諸事業を展開中。著書等:『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(東洋経済新報社、共著)など。

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